富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十七日(火)雨。天后の上海弄堂菜肉昆屯。40年にわたり上海の家庭料理を供するといふ胡太の上海の雲呑と菜飯。黄昏にジムにて小泉君訪朝(北朝鮮詣で朝が訪れる、か……)のニュース眺める。この人大事な場面となると表情強張るが強張りすぎ。下手な役者「戦争映画にて津川雅彦の部下」を演ずるが如し。画面にて際立つは田中なるアジア大洋州局長にて政府機平壌空港に着きし折も羽田に戻りし折も丁度カメラが捉える首相の背後にてその表情に見える自信は外務省人事紛糾など一掃しいったんは期待された審議官への昇格など論外、事務次官を手中に収めたり。省内にては小沢一郎君などとの親密ぶりが政治的出色と映れば事務次官に留まらず政界進出し末は外相か。本日の『信報』は林行止專欄曰く、結局のところ今回の小泉訪朝はその交渉結果の成敗に関わらず外交に於ては軍事と同じく合州国の戦略に追従してきた日本が最後の難関であった北朝鮮との外交交渉を興すことにて今後はアジア太平洋地区に於て日本が主張と影響力を強めることは必至、と。中国の覇権など考慮すれば余は日本が外交において主張と影響力を強めることはけして否定はせぬがこの田中某の自信であるとか民主党の無垢な新自由主義など眺めると55年体制にて社会党が揶揄するだけにて自民党土建屋政治続けし安全保障の整った時代に比べ今後はかなり危険な要素多きことを懸念せざるを得ず。ニュース途中にて雨強まり黄警報発令される。晩に佐敦阿龍カリー。明記にて紅豆西米露。深夜までニュースは小泉訪朝。北朝鮮に拉致され死亡が判明せし家族の涙。北朝鮮に対する怒りは当然として日本政府は何をしていたのかと強い抗議。後藤田正晴の如き重鎮が目を光らさぬキョービにあってはその遺族の涙をみた上述の田中某や民主党松下政経塾モードの政界人士「強き日本」とは何ぞやを勘違いせぬこと祈るばかり。
▼上述の林行止專欄にて先日の張敏儀女史による『亜州週刊』誌にての日本首相小泉純一郎君との独占インタビュー(九月九日の日剩参考のこと)について指摘するは、当日の張女史の最も核心をついたものは「日本が国際社会に於て活躍する機会は少なくなってきているという人がいるがどう思うか?」という質問にて「不敢説」と答えたといふが小泉君の「不敢説」(そうかなぁ)(言いたくないね)や「如何説」(なんて言うのかなぁ)は何も言っておらず(つまり考えておらず)と。然り。