富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月十一日(木)熱帯性低気圧接近し今年初めて三号警報発令。朝ラジオつければ九一一、テレビも新聞も九一一の追悼にて小泉君安保に基づき宗主国の追悼会参加が為訪米当然乍ら香港にても市大會堂にて追悼あり行政長官参列。香港にあらば国恥たる天安門事件も公式には追悼せぬものを彼の国のこととなれば雁首揃え追悼する様まさに覇権主義と従属主義なり。九一一の追悼まさに踏み絵にて追悼せぬ国家は反米主義者の烙印か。昭和十年の頃祝日に日の丸揚げぬ家に押し入り国旗掲揚強要し金銭強請る暴漢の類の壮士あり荷風先生それがために日本橋三越にて日の丸購ふ事彷彿す。午後になり警報8となり市は台風防災体制へと突入す。晩の競馬も取消し。
▼香港行政のその哲学と質の低下甚だしく夏に香港交易所(証券取引所)内部資料にて仙股(¢株つまりpenny stock、零細株)上場取消し案が突然公開され当然ことながら零細株なりし上場企業の株価暴落。市場混乱ばかりか多くの企業の息のねを止めるが如き重要なる案件の安易なる公開に行政責任とり然るべき処分がなされるべきところ政府諮問委答申昨日あり交易所行政総裁のKwong Ki-chiには行政責任(つまり対個人的には罰せず)有れど監督官庁たる財経事務及庫務局局長馬時享及び財務司司長梁錦松お咎めなしどころか昨晩記者会見にて馬時享この件については市場混乱痛感するが責任者としての謝罪はせずと厚顔無恥甚し。同じく会見にて董建華も市場混乱の遺憾表明しつつ梁及び馬の責任追及せぬばかりか庇護。民間企業にあれば責任者失職のうえ監督責任者少なくとも減給措置当然にて政府の質の低下目を覆はむばかり。香港政府公務員曾てはその才覚、公儀精神と廉政なる様称賛されしものが無能なばかりか何もせぬならまだしも失策のうえ責任すら罷免されては言葉もなし。七月より開始の問責部長制は実質的な内閣制度にて各部門長に責任をもたせ行政の充実を図るべきところが結局は董建華の子飼いの集団にて何事も不問責制であることが早くも暴露されたようなものなり。
▼財務司司長梁錦松といへばオリンピックにて女子高飛込みにて金牌の中国「國寶」伏明霞、五旬の梁錦松との恋愛発展し夏に結婚し話題となるが清華大学研究生の伏、来港し新婚で九月よりの新年度中文大学大学院MBAを申請。七月に締め切った課程のはずが特別待遇にて申請受理され入学審査に係る委員らには大学側から電子メールにて30時間以内で批准の有無を問う有り様。沈、梁みずかららゴリ押ししての特別措置にあらず本人らは「もしできれば」程度の感覚だろうが大学側の措置の大袈裟ぶりに寧ろ驚愕し当然マスコミと世論の反感かうは必至にて昨晩、沈みずからが入学申請を取消し、と。呆れるほどの官公庁の野暮ぶりに心底言葉もなし。香港の中国化はかういふところに顕在か、否、中国のほうが有能なる官僚もいる点では寧ろ良質かも知れぬ。