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九月五日〔木）薄曇。黄昏てジム。二更に旧知のＭ氏と油麻地にて邂逅し佐敦はAustin Rdの九州市場なる日式料理。午後10時よりの格安値段功を奏してかかなり繁盛しているがビールなど飲む客は我らと一人の男のみ。それ以外の客は茶をガブ飲みしつつ脂ぎった生鮭の刺身に山葵醤油をどろりとつけ美味そうに頬ばる。口腔に広がるであろう生鮭の脂臭さ、そこに流しこまれる茶の渋さ想像するだけで胃薬欲すほどの不快感甚だし。そもそも九州に鮭を生で食すが如き食習慣なし。知日派のＭ氏麦酒愛飲するが氏は日本にては麦酒のコップは必ず冷やされているべしといふ通念あり。幸いにもこの九州市場にてはコップ冷やされて供され事無きを得たが氏の話によれば美孚が如き場末の日式料理店にて麦酒注文せば冷やされておらぬコップ供され責任者を呼び叱咤鞭撻をしコップを冷やさせた、と。この九州市場の隣にさういへば10年ほど前には「よりみち」なる日系カラオケがあったといふ懐古談となり尖沙咀といへば当時貧乏なる我らは銀座太郎にて飲食愉しみ、近くに来夢来人なるカラオケバーがあつたこと、リパルスベイのかぎやの女将のテレビでの「新参者でございますがよろしくお願いいたします」のCMなど彷彿。款話三更に及ぶ。