富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

八月十六日(金)晴。某紙の特集記事(叩き台)を呻吟。黄昏てジム。晩に藪用あり一人なれば麺か餃子の類ばかりにてふと麥當勞が供す米飯モノ二種のうちこの米飯販売が始まった直後に加厘吉列鶏八飯(つまりチキンカツレツカレーソース飯)は試しに食したがもう一つを食してなきことを思いだし通りがかりの麥當勞に入り磨姑醤考鶏八飯(グリルドチキンのマッシュルームソースかけ飯)を食す。どっちもどっちというモノ足りぬ味つけ。この米飯販売始めし折はマクドが米飯アイテムを始めたと話題となりかなり注文していた客がいたものが今晩はこの米飯モノ食すは見回しても我一人。すでに飽きられた観あり。それにしてもマクド新製品開発にあたっては合州国の本部にてかなりの試食と厳しきマーケティングを経てようやく発売といふテレビのルポを見た記憶あるが香港にてこんな安易に米飯モノを発売し一、二カ月で下火となるは許されるものか。晩も二更場末の麥當勞、客は意外に若者少なく家に居場所なかりしか初老の殿方多く新聞など読み時間潰す様悲しきものあり。バスに小一時間揺られ帰宅車中『噂の真相』読み続けさすがに康夫チャンのペログリ日記読み活字の細かさにさすがに軽い目眩。不信任決議された五日後七月十日の綴にて『日経流通』永野編集長の(日記に)「PGもONも出て来ないと寂しいよ」という感想に同感。
▼フジサンケイの扶桑社版「新しい歴史教科書をつくる会」主導の中学歴史教科書が愛媛県に来春開校する県立中高一貫教育校三校で採択される。愛媛県といへば昨年すでに県立の養護・聾学校の一部でこの教科書を採用した実績あり、つまりは「どうせ実際には教科書なんて使用できないのだから」ということで既成事実つくりの為に養護・聾学校での採択をまず布石にした余りに醜悪なる手口を披露した段階でこの教科書が公立校では全国で最初に愛媛県にて採用されることはほぼ間違いないと確信されてはいたがやはり愚鈍な愛媛県教育委員会の事務局案として扶桑社版が提案され田舎漢委員の全会一致にて承認し井関某なる県教育委員会委員長(大洲の商工会議所会頭なる里人)曰く「我が国の文化への理解、国民としての自覚を深める点が配慮されていて、学習指導要領に最も沿っている」。文化なるものを国家の範疇にて捉える視野の狭さと無教養、破滅へと邁進する国家の国民としての自覚のみ深まる事実、これはこの井関某に限ったことではないが、これで再来年には愛媛県にて広くこの教科書が採用され、一つ糸口さへ現われれば雪崩式に他でもこの教科書の採用ふえるか。南無阿弥。歴史史観は様々ありけしてこの教科書のような史観を全面否定するわけではない。が、一読してみたが学説が陳腐この上なし。史観でなく教養の質が低いことが問題なのだ。どうせなら保守反動右翼の諸君この教科書など採用するより寧ろ『大鏡』、頼山陽の『日本外史』でも若者に通読させては如何か。それをどう読むかは生徒の自由。史観を越えて歴史を語るといふことの大きさを学ぶことが大切。