富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月二十三日(日)快晴。朝、中国銀行主催Olympic Day Runなる4kmの持久走に参加。二年前に北京奥運誘致キャンペーン盛上げが為に始まりしものにてゴールして記念品配布かと思い列に並べば北京五輪誘致のための署名にて呆れたり。北京オリムピック開催も決定しこの行事も目的は開催誘致から五輪に向けての市民意識向上となる。僅か4kmとはいえ摂氏32度は炎天下にては肌が痛むほどの陽射しにてアスファルトが焼け運動靴の底を熱す。二十分余にて走り終われば汗で靴までぐっしょりと濡れる。昼前にH氏と打合わせありZ嬢と某処。Z嬢と灣仔に戻り急雨のなか蜀家菜にて川式点心。午後芸術中心にて台湾映画祭も閉幕にて『自由門神』(監督・王童、2002年)。葬式行列の吹奏隊営む家族を父・石英、母・文英、長男阿輝・李康生、次男阿明・陳嘉裕が演じ、これだけで十分だが吹奏楽団員として脇を固める役者もよし。阿狗(張瑞哲)は父親が重度の中風にて寝た切で意識もなく鉄工場で働きながら父親の病院代を工面する。また楽団の家族のなかで今ひとつ報われない小児痲痺の阿明にもいい兄貴分である。が欲が出て地元の廟の門神の扉を盗み骨董品商に売ったことから門神の祟りか阿狗は没落してゆく。それに対して吹奏楽団一行は偶然に手にした紐育旅行でやはり偶然に紐育のレストランに買われていた門神の扉を買い戻し幸運一途。いい物語ではあるが「穢れ」と「浄め」としての葬式家業は前半は文英が吹奏団の制服と黒ネクタイのまま仕事を終え賄い飯しようとする楽団員に「葬式のお清めのようだから制服を脱げ」といったり電車の中で隣りに坐った女が吹奏団を避けるなどしっかり描かれていたが後半はその穢れと浄めが消えてしまいただの善男善女となってしまったこと(それは狙いでもあるか)、それに阿狗の没落はちょっとハプニングが多すぎ。あそこまで劇的にする必要はあるまい。個人的には阿狗が骨董商殺害に巻き込まれ父親の酸素マスクをとって父親を看取り自殺し、吹奏楽団は門神とともに台北に戻り、この阿狗の葬式行列にて吹奏する、その列の後ろを阿狗が送った三輪スクーターに乗った阿明が続く、とそういう終末を期待したのだが……。この映画にては年ごろになった阿明に阿狗が機転をきかし買春宿にてそのやり場のない小児麻痺の少年に快楽を与える、その買春婦役にて僅かに出演した連碧東がこの映画撮影後に債務を苦に自殺していたことを知る。連碧東は水曜日に視た『放浪』では美麗役、『美麗在唱歌』にも出ており(林正盛作品)、亡くなったと知って検索したらかなり昔に視ている『南国再見』や『熱帯魚』などにも少女役で出ていたのだった。銅鑼湾にてOakleyのアイヱア購ふ。帰宅して泡盛皿うどん食すがW杯の中継なき夜は何か物足りず(笑)。