富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

六月十一日(火)大雨。蔡瀾氏今朝の蘋果日報にて(株)明治屋明治屋産業株式会社の誤認の件につき明治屋に謝罪。誤解は誰にもでありそれを責めはせぬが、問題はこの偽牛肉につき氏が旧知のテレビ関係者、それも松阪牛のDNAにまで詳しい程の御仁がこの明治屋産業(株)を(株)明治屋として言及している点にて、どうもこれは蔡瀾氏の作り話ではないか、という気がしてならず。氏は『料理の鉄人』などでも食についての博識を披露し知日家を看板にする氏は日本についての記述で誰も他に知らない環境にあってかなりいい加減な点も少なからず。実はこの誤認につき個人的に蔡瀾氏、蘋果日報ついでに明治屋まで知らせたり。これまでの氏の「盆栽猫」「ハヤシライスは醤油であの色になった」「某映画監督の若死はエイズか?」といった数々の発言に比べ今回の件は対社会的に誤解を生む発言にて放置できず。明治屋は六月五日正式に抗議文を蘋果日報に送っていたそうな。今回はそれを受けての訂正並びに謝罪と察す。 明治屋より蘋果日報並びに蔡瀾氏に今日の訂正謝罪の掲載に対して感謝を伝えた、と担当者よりメールあり。先方の事実誤認と名誉毀損あっても謝罪に感謝とは度量が広く敬服。献血。三ヶ月に一度ちょうど肩凝りとかひどくなった頃に献血を続け気がつけば19回目。D氏、Z嬢と打合せありExcelsior Hotelのカフェ。隣のPacific Cigarにてキューバ人師傳が葉巻き手巻きを実演。巻き上がった葉巻即売で吸いたいところ香港の条例にて発売不可(煙草税の問題と思われる)ながら本人巻き上がった葉巻に火をつけて上手そうに一服し、その吸い方もまた年季入り見惚れる。Z嬢知人よりプロポリス液なるブツ入手し試服。深夜『噂の真相』読む。
朝日新聞が米英の介入で調定をと宣った印パ対立について『信報』林行止の専欄は合州国の介入を詳細に渡り分析、何故に合州国が印パに介入するかといえば合州国が世界平和を調定するという大義名分の他に具体的な利益(目的)があるからに他ならずイラン・イラクを中東の火薬庫とするならそれに対しての包囲網として印パを押さえねばならず、それ故に外交官交渉ならまだ理解できるが国防部長までが乗りだすのであり、また冷戦時代にはソ連との親密な軍事的関係にあった印度を合州国に順応させることで次なる<覇権>としての中国を軍事的に包囲できるもの、それが合州国の策略、と。Arundhati Royがいふように(六月四日のメモ参照のこと)印度これまでこうした<覇権=帝国>から距離を置くことで安定してきたが合州国の介入で以て印度もグローバリズムの「洗礼」を受ける。「印度なり」の民主主義(カースト制度もありどこが民主主義かと西欧は見るが)も崩壊。ネグリのいふ<帝国>の支配着実に広がる。
民主党首席Martin Lee氏STMPに寄稿して曰く論旨は下記の通り。かつて国家主席趙紫陽氏が「何をそんなに恐れているのか?」と香港に向かって言ったのは香港返還についての中英交渉の序盤であり香港から人々が自由を求め海外に移民するのを見た時で中国はそれに対して香港が高度な自治権を有することを表明した。しかし89年の天安門事件で硬直化した中央政府は香港にて反中国の世論が高揚し香港独立といった動きが起きることを恐れ90年に制定された香港基本法では中央政府に重きをおいた。それでも天安門事件から13年経た今日、中央政府の指導層にとって香港の政治的安定は満足いくものであろうし香港で誰も独立を叫ばない。もし趙紫陽が今日同じ質問を発したら香港の人々はかつてほど中国政府を恐れておらず寧ろWTO加盟に見られるような現実的な経済革新を続ける国家に董建華に対する以上の信頼も寄せよう。現在の中央政府天安門事件の10ヶ月後に香港基本法を制定した時とは明らかに異っている。この中国の大きな構想の中で香港はどういう役割を演じることができるのか?。もし一国二制度を構想した登β小平が生きていれば「香港が自由、法治、廉政などの質を維持し発展させることで中国はそれを手本とできる。それが50年不変の意図するところだ」と言うであろう。が、実際には董建華がこの五年の施政でしてきたことは香港を前進どころか後退させることだった。二つの市政局議会の廃止、区議会での任命制の復活、基本法の自己解釈、ICACによる星島日報社主Sally Auへの捜査打切り(指揮権発動)、薄扶林にCyberport建設にあたり公共入札をせずデベロッパーの任命など……(これらは大陸からの不法移民の居留権や法輪功など対中央政府の顔色を窺う問題に非ず)。その上に董建華は香港政府に部長制を導入し自らの言いなりで動かすのだから今後五年の施政は思いやられる。警察の権力増強、報道の自由への介入、ICACによる警察上官の捜査への圧力などが続く。中国が世界経済の中で重要な位置に向かうなか董建華が香港でこのような施政を続けたら香港は中国のparasite(寄生虫、たんに中国にくっついているだけの存在)に陥ってしまうのである。
……(富柏村解釈)数ヶ月前にMartin Leeは董建華再任に当たり董建華が行政長官としては失格ながら他がこの職についたら董建華以上に中国政府と良好な関係が維持できるかという点を考慮すると董建華の再任以外に方法はないということを悲観的に述べたが、それでも董が対中央に対して忠実なる犬であるだけならまだしも中国政府がけして意図してもいない部分での董の劣悪な施政ぶりに呆れた、というわけ。
▼昨晩W杯中継眺めし折ゴールした選手様々な所作見せ韓国選手は対米戦にて冬季五輪にてのアイススケートでの判定を揶揄しスケートの真似などするに若しルーマニアW杯に出ておれば「コマネチ!」などすると日本ではかなりウケるのではないか。▼Z嬢連日喉痛あり龍角散服さんとするが苦味嫌ふ姿を見れば、ふと龍角散オブラートに包む者や龍角散を喉のまわりに天花粉の如く塗す者はおらぬかと思ふ。