富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月二十九日(水)快晴。M君はPCCWのインターネットプロバイダnetvigatorのbroadbandで時間無制限月HK$298なる一年限定の特惠契約を得ていたがそれが切れそうになりPCCWに電話して「これが切れるなら他の会社の同様のサービスに移行する」とゴネたらあっさり一年更新を得た、と。我は昨年この時期つい数日の遅れでこれの加入できず今さら無理かと思ったがM君曰く電話して「契約解除する」と言えば先方が理由を尋ねるので「高い」といえばこの時間無制限HK$298になるとのことで電話してみたらマジにあっさりと手続き完了。携帯電話も同じような料金交渉は可能、と。世の中さういふものか。暑く食欲なく(これが七月くらいになると身体も暑さに慣れるのだが)黄昏時に卑利街・陳成記にて水餃伊麺。馬券。買物に向かうが中環で目的の店潰れており銅鑼灣の同じ類いの店に行くがここも潰れており賃貸がかなり下がりつつも不況小売業に及ぶ現実を知る。ジム。歌手C君と銅鑼灣の郎田日本料理、郎田なる名前から察せらるるやうに日式。芸能関係ご用達か四人用の個室あり。午後九時以降は食事せぬと決めていたので鯛と赤貝の刺身を数切れのみ。四方山話。▼蘋果日報にて蔡瀾また大ポカ。日本通で「料理の鉄人」などでもご活躍ながら、盆栽猫製造は日本人に違いないだの、日本のハヤシライスは醤油を使うから色が濃いだの、相米監督の若死にをエイズかと揶揄したり……とこれまでもいい加減な発言目立つが、今回は京王デパートで売られていた明治屋産業の偽牛肉騒ぎを株式会社明治屋と勘違い、勘違いだけならまだしも明治屋霜降をネタに語る語る……。
蘋果日報』5月29日蔡瀾「草草不工」の「没問題(問題ない)」の以下翻訳(【】部分)
【人が牛を養い牛を喰う。わかならいでもないことは飼料(餌)には牛骨をいれて、牛に牛を喰わせるのだから、牛はこの仇をとらねばならず、狂牛病をもって人に対抗することも道理。牛の復讐は続き、狂牛病に怯える日本人は牛肉を喰わず生肉業は売り上げ落ちてどうにか儲けないといけなくなる。米国の牛も日本牛と同様に牛。しかし価格はかなり安く日本人は米国牛を日本牛として売りいくらかでも儲けようとする。但し大企業のこんなウソがばれては謝っている。奇怪なのは日本の会社がこうした状況で陳謝すればまるでこれで懲罰を受けずにすむ。消費者も最初は怒っているがあとになるとさっぱり忘れる。こういった騙し商法を見つけるのは警察ではなくマスコミの記者。警察は無能で政府は鈴木宗男の疑惑のように汚職ばかり。(……とここまでは真当、富柏村) 最近のニュースは日本最大の食品小売業の一つである<明治屋>が偽松阪牛を売ったことだ。「なんでこんなにひどいんだ、真相を教えてくれ」と私は日本に行った時にテレビ局の友人に尋ねた。「その真相はあなた(蔡瀾)みたいな食通にかかってるよ」と彼は言う。「食通のグルメとどんな関係があるんだ?」と私。「明治屋松阪牛だと人を騙しても、使っているのは最高級の日本の牛肉だし霜降で「松阪牛」と書かれれば高く売れる」と彼は言う。「しかしいったん食通が食べれば違うものは違うとわかるだろう、それが俺たちの関心をひいて調査が始る」。「どうやって調べるんだい?」「簡単だよ、松阪牛は牝牛の肉しか食べない。高いものは珍重されて交配も気をつかう。自分たちがニセ松阪牛を検査したら牛のDNA、それが牡牛だとわかって、それじゃ松阪牛じゃないとわかったのさ」。なるほど道理がある。みんなが私に「日本の牛肉はあんなに問題があるのに、なぜ蔡瀾の企画するツアーで食べに行くんですか?」と尋ねるが、私は絶対に自信がある。なぜなら私たちが食べに行く私の友人が経営するレストランは自分の牧場があってそこで薯米(雑穀?)だけ食べている。薯米を喰う牛は問題ないのだ。】
前半の日本への鋭い視線は納得に値するが後半の話(日本のテレビ関係の友人との部分)は事実か創作かもわからず。偽牛肉のDNAまで検査した報道関係者があの明治屋明治屋産業の区別がつかぬはずあるまい。この話、創作か?。結局最後は自分の企画するグルメツアーの宣伝になってしまうのは最近の蔡瀾、これで香港で最も原稿料が高い随筆家の最近の作風なり。