富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

五月十七日(金)雨のち薄曇。西尾幹二『国民の歴史』読む。建築も言語も東洋vs西洋ではなく<大陸……これにはシナから欧州までを含むユーラシア>から日本がいかに異なっているか、稲作は縄文時代からあって弥生人(渡来人)が持ち込みしものに非ず、平城京長安を模したものに非ず、秀吉の朝鮮出兵はフィリップ二世に対抗して(笑)世界帝国形成の野望であり朝鮮侵略の善悪で語るものに非ず、フランス印象派に先だって近代絵画を切り開いた北斎……と、これを読めば「そうか、日本ってそんなに凄い国だったのだ」とどんなに国家として破綻していても何か勇気がもてる、ってわけか(笑)。ガキが隣家のガキ相手に「ウチのトーチャンなんて……」とムキになっている姿に酷使。いずれにしてもこれは歴史教科書としては無理。日本人倶楽部に『国民の歴史』返却に行き橘屋の女将さんに邂逅。倶楽部の「さくら」にてS君と食事しつつ物語す。島根は米子の久米桜の吟醸酒いただく。辛口ながら上品な甘みあり見事。S君は日本語を習得して数年ながら日本語で三言えば十通じるほどの感性にて魯迅の上海・内山書店での物語なるものはこれの更に奥深きものなのかとおもふ。中環まで戻り葉巻屋でCohiba購い星巴珈琲にてエスプレソ飲む。帰宅してCohibaの香りに包まれてMiles Davis "Filles de Kilimanjaro" 聴く。