富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

三月八日(金)曇。ようやくT医師より退院許可下り退院手続しつつ南條竹則ドリトル先生の英国』(文春新書)読む。入院中の新聞、メールなどまとめて読んでいたら15日のダービー、馬主C氏の多利高Dashing Winnerも楽しみだがW氏の期待馬・新力軍も出るではないか。W氏の会社の株を僅かばかり所有しており、ふと思えば期待の星・奧運精神Olympic Expressも馬主榮氏の会社の株ではかなり損をしたまま所有(笑)といふことでダービーは因縁めいて奧運精神本命で多利高と新力軍とすることに決定す。Z嬢と尖沙咀はKnutsford Terraceにて香港にては珍しき某ロシア料理屋。ロシア料理といへば神田駿河台サラファンであるとか仙台のもう閉業してしまつたが一番丁のヤマハ隣りのトロイカであるとか(仙台といえば三月ともなると三陸の魚介が美味くなるかと思えば立町のフランス料理屋あづまやは懐かしさ限りなし)小さな佇まいの店を想像しこの店も白系ロシアの貴婦人が赤色革命を怖れ亡命し……などと勝手な想像。ただし場所が場所にて流行の飲み食い処ばかりにてこの店もさもありなむ経営はEl CidやClub Havanaと同系列。香港にて本格的なビーフストロガノフと新聞にあり料理人は露西亜人。やたらに店員多し。種類多きウォッカはじめスピリッツを氷点下16度の氷室に貯蔵など視覚的は凝り(食事には合わぬがアルバニアのスタルカないかと氷室に入ったがやはりない)ロシア民謡のライブは御免なさい私らには苦手な雰囲気。El Cidをそのままロシア料理屋にしたな、って感じ。味は不味くはないがいまいち旨みなくピロシキなら那須の南ケ丘牧場のほうがよっぽど美味いし(と小学生の頃に初めて食べたピロシキを思いだす)ビーフストロガノフは香港なら銅鑼湾の皇后飯店か。星巴珈琲。香港芸術祭、香港文化中心にてNHK交響楽団。香港に「日本公演のついでに立寄り」でなき珍しきオケ(当たり前か)、いずれにしても中華食べに来たのは他のオケと一緒。Charles Dutoitの指揮にて武満徹Requiem for Strings、Prokofievのバイオリン協奏曲二番(小提琴は竹澤恭子)とBerlioz幻想交響曲。来賓は総領事離任中にて首席領事、徳昌電機の蒙さん、東京三菱支店長といったところ。N響、銀行員(それも合併前の三菱銀行みたいな、ね)のオケじゃないんだからもっと楽しく演奏しようよ、という感じ。武満のレクイエムはもっともっと大らかに、プロコイエフもロシアとはいえこの1935年の曲はまさにパリにてベルリオーズもDutoitにとっては十八番だから勿論巧いのだが何か演奏に硬さ目立つ。Z嬢の評ではN響の主力抜きの1.5軍が来港、と。演奏終わっても万雷の拍手に笑みもなきオケは悲し。