富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月二十日(日)曇。二晩続けて愚猫の疾病に因り睡眠不足にてこちらが体調崩しSouth China Coast Marathonの出場断念。ジムに行きふと<金庸>記の新鵝肝腸飯を喰いたくなり<金庸>記にて外賣の弁当にして沙田の競馬場。今季の三冠大賽の首關となるSteward Cup開催。予想にて結論出ぬままのR1、R3を敢て外し複勝にてR2のSirocco(HK$12)、R4のCheif's Fortune(HK$20.5)と当ててR5にてShining Gemが入ればこの三つの複勝を3x7で購入していたがために総じてHK$178と堅い配当になるはずがShining Gemが退出してしまいR5に絡む部分が払戻し(笑)、新鵝肝腸飯を食べながらR5はD'or Winを単勝で当ててR6のClassic Masterは惜しくも四着。本来今日は賭けぬべき判断のR7につい好調と手を出してしまい案の定大きく外す。R8のSteward Cupを前に温度急激に下がり北からの季節風が強くパドックでも木の葉が舞う不穏な雲行きにてR7の抗議判定が長引く中でこれは一番人気のElecroronic Unicorn(電子麒麟)がHK$15とつまらなく我らが老馬Indigenous(原居民)がやけに覇気あり複勝狙いのはずが単勝まで拡げたが無念にも六着。Elecroronic UnicornはまたSize厩にてSize調教師といえば必ず一着争いで絡む簡炳犀師のRed Pepperが二着になり買へぬ後悔。余りの寒さに残り二レース馬券のみ購入して退散す。帰路中環を歩いていたら蘭桂坊坂下にて「ばったり」アル中I君と遇い、一人で酒を購いに来たとまるで坂下にて誰か来ぬかと網を仕掛けていたのではと疑いつつ件の独逸ビール屋。Z嬢中環付近にいるとわかりZ嬢も招き拙宅にておでんとなりI君恐縮してシャルダニーの葡萄酒とRansonの黒ラベルのシャンペンを購ってくれる。さっそく拙宅にてシャンペンにて乾杯し深夜までおでん食しつつ笑話。▼アジ研研究員が昨年の合州国同時多発テロ及びアフガニスタンへの武力行使に関してアジア各地の新聞論調をまとめたレポートを執筆したが同研上層より「文中に日米政府の非難と受け取られかねない表現がある」として印刷後回収処分となりお蔵入りし執筆者らが明石書店より『アジアは同時テロ・戦争をどう見たか』として出版す。アジア経済研究所も不況と構造改革にてJETRO傘下となりて久し。アジ研はそもそも1960年に通商産業省所管の特殊法人としてアジア経済研究所法なる立法により(すでに廃法)キナ臭き旧軍用地に建立され国家がアジア経済の研究をするといえば満鉄調査部台湾総督府熱帯産業調査局など国家拡大の国策としての調査部が思い浮ぶが、これら調査部の度量とは国士策士からマルクス主義者、無政府主義者まで広く人材を集めたことにて、アジ研もそういった意味では保守反動学者からトロツキスト文革肯定派まで、はたまた逸材から凡才まで研究者を選取見取に揃えていたが、政府非難と受け取られかねない程度の表現で怖じ気づくとは。政府の提灯持ちの研究ばかりなら研究所の存在意義もなし。絶望的な時代ながらまだアジ研の外での出版という手段をとった気骨ある研究者がいたことだけはまだ救いか。