富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

一月四日(金)快晴。昼は浜辺の電光温度計が19度というが日なたの体感気温はずっと高く浜辺に寝そべり作品社の日本の名随筆別巻80『競馬』高橋源一郎編読む。さすがに海岸には人も数えるほど、水着にはなっていても泳ぐ猛者はなし。『競馬』には織田作之助井伏鱒二吉川英治に始まり山口瞳藤本義一宮本輝と名だたる競馬好きの文士が並ぶなか物語の構成としての面白さでは阿部譲二の『空飛ぶ厩舎』が断トツに面白く、随筆としていい出来は河野洋平が代議士になる直前1966年に29歳で書いた『ある調教師の横顔』が秀作、他の書き手たちが観衆として賭事として競馬を書いているなかで、この河野洋平だけが河野一郎の倅として若旦那気分で競馬馬の馬主道楽、その気軽さが文章に冴える。夜更に講談社ブルーバックスの『酒を楽しむ本』佐藤信著読む、スコッチのモルトを生一本と呼ぶ昭和39年初版が91年38版なるものを何処かの古本市にて入手、「生一本のウイスキーの持つ強すぎる煙臭、粗い味などの欠点」と書かれ、それだからこそモルト、否、生一本のウイスキーを愛飲する余にはいささか困る表現なれど、ジョニ黒が銘酒の代名詞だった時代の酒の蘊蓄を楽しむ。▼昨日書いた大晦日尖沙咀での警察と少年のイザコザ、警察がまるで天安門事件の際の北京政府の発表のように画像に映っていたような事実はないと言えば、マスコミは当然警察発表を覆すが大義名分でその少年を追い込み、今日のニュースではキチガイで冷徹な表情のマスコミに取り囲まれ顔を隠す息子を庇護う懸命な母の姿と弁明は見るに不憫、マスコミの暴力以外の何ものでもなし。公団住宅で30階の高さから小学生が欄干から下を覗いた際に背負っていたランドセルが重くそれが重心を狂わせ転落して即死、ランドセルの重さは17.5磅(8kg)と教科書の量と重さが問題となっているが、小学校の午前午後の二部制授業で机中や教室に要らぬ教科書も置いて帰れぬのも事実。