富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月二十三日(火)晴。久方ぶりに中環ヱリントン街の大清清湯南にて牛腑のカレー食す。上環の九記、尖沙咀の徳發、灣仔鵝顎橋街市の恵記と並び大清は牛南の名店。九記は知らぬが恵記は回教ハラルの店にて徳發のある市場も他に比べハラルの精肉店ばかりとやはり牛肉を扱う食肆は回教かと思えば大清という名も清は満族だが北方の異族の縁か。中国映画祭にて市大會堂にて監督・馮小寧の『紫日』を見る。余り期待せぬ作品なれど1945年の満州を舞台に親や村人を日本軍に殺された農村の支那人青年(富大龍)と逃げ損ねし日本人の少女(前田知恵)に参戦したロシア軍の女将校(Anna Jennylanova)が大興安嶺山脈の美しい秋の森と高原を逃げ、これで無事日本の降伏にあって平和が訪れるかと思いきや……と予想以上に脚本がしっかりしており好い映画。日本人の描写がかなり甘いし、いくら大興安嶺とはいえ七月から八月十五日であの秋めいた景色はちょっと……とかれこれ18年ほど前にこの大興安嶺を外国人旅行許可とらず公安に叱られながら一人旅した記憶が蘇る。富大龍、前田知恵にAnna Jennylanovaとも好演。