富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

十月二日(火)快晴。志ん朝逝去の報に接す。江戸の落語奇跡的に志ん生より志ん朝に遺継されしがもはやこれまで。噺家にて63才の死は余りにも若く円熟の志ん朝を聞けぬことはまことに不幸なり。もはや談志の芸風の孤立無援は孤独となりぬる。朝日に建築家・安藤忠男語るに今回のテロは「米国のスタンダードの押しつけによる経済至上主義や西洋文明と、非西欧文明の衝突」であり「『多様な価値観を認めよ』という叫びにも見え」「世界貿易センタービルは同じ規格のスペースが積み上げられた構造で、経済合理主義の権化のようなビル」で「建築学用語で『均質空間』と呼ぶ」「米国流スタンダードともいえ」「いま、建築の世界でもこの米国流が世界を制覇している」が「世界には異る文化、宗教、風土があるのだから、多様な建築があっていい」もので「多様な価値をお互いが認め、受け入れるべき」であるとまさに溜飲が下がる思い。安藤氏の建築はテロが襲わない、テロリストも安住できるもの。東京にてカラバッジョ展見たい。『諸君』(文藝春秋)は9月のテロ騒動に便乗し石原慎太郎佐々淳行の対談で「ペンタゴンの黒煙を眼前に今こそ『日の丸』を立てる秋!」って国旗を立てる故にテロに狙われることを判らず、「『開かれた社会』の『敵』イスラムテロリズム」ってアメリカ集中のグローバリズムも「開かれた社会の敵」であり、「安易な比喩はやめてくれ、何が『真珠湾』だ『特攻』だ!」という対談も今回のテロには「本人たちには」その「聖戦」をアメリカに挑んだ明確な聖戦の根拠があるだけに日本の真珠湾、特攻とは根本的に異らないか。