富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

七月十五日(日)大雨。昨晩は深夜ふと黒澤明七人の侍』をVCDで見始めたら眠れず三時間の超大作、戦、騎馬、風雨に戦旗なる『乱』で象徴されるエキスの全てはここにあり、娯楽として三時間飽きさせず、白黒でしかも当時のフィルムの質で陽光に御花畑の花の色まで捉えるは流石と改めて敬服。この作品の黒澤らしいエロティシズムは勘兵衛(志村喬)の父性、七郎次(加東大介)の母性、菊千代(三船敏郎)の野性、久蔵(宮口精二 )のだんまりに黒澤らしい勝四郎(木村功)の若衆とかなり露骨だが(七人のなかで唯一このエロティスズムの構図から逸脱するのが平八(千秋実)のみ)、それに大仕掛けと娯楽性が勝ったのがこの作品の凄さ。それにしても七人のうち四人が死ぬ代償の大きな戦にて勘兵衛のあそこまでの老練な戦術をもって何故に村に騎馬を一騎ずつ誘い込み囲って潰していく中で北の口より村中央へと下りる坂に土堀でも掘ってそこで馬を倒し野武士を殺さないのかが不思議。まず馬より落とすことが得策と思うが坂道を下り余計に脚の速くなった馬を追って刀を振り回すのは拙作、この土堀作戦をとればまず見方は二、三人の死傷で済みしものを。そこまでの巧妙さがなき処が勘兵衛が所詮負け戦続きの一介の浪人で終わった由縁か。それでも成功する天才より人物的にはかなり好人なれど手柄に遠き点が人物像としては良きことは言うに及ばぬ事。知人入院せし港安病院に医者とのやりとり便宜と退院手続が為訪れ久方ぶりに港安病院の食堂にて昼に齊菜。病院食堂と侮ること勿れ、じゅうぶんに味わえし調理にて当然ながら減塩低カロリーにて健康にも好し。夜I氏宅にてDASHING WINNERの馬主C氏よりのボルドーGrand Cru ClasseということでMargauxはChateau Prieure Lichine1994★★★★とChateau De Fieuzal1996★★。北京奥運の開催決定にて米国の間諜と中国で拘留されていた香港城市大学の李小民氏が釈放される。