富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

1月11日(木)曇。養生続く。マイルスのフォー&モアを聴きながら平岡『江戸前』読んでおり何が残念かといえば岡本文弥百歳の大往生で終わってしまったかのような新内節、でもまだ江戸には新内節がと思いインターネットにて「新内」を引いたら新森内閣と出たのは野暮、平岡が持っているという1986年に文弥91歳にして樋口一葉24歳の作品『十三夜』を謡ったもの、聴きたい。月刊『太陽』昨年末の号で廃刊、創刊が63年6月となんたる偶然、池波正太郎にせよ江戸の味覚にせよイギリスの田園生活から白州正子の世界まで世の中の粋なるものを目に見せて読ませてくれた平凡社らしい教養。今となっては雑誌も趣味も氾濫し『太陽』の読者がいなくなった、か。夜、佐敦にて養生にと阿龍の牛南カレー、明記にて紅豆西米露、どちらも美味なれど阿龍のカレーがちょっと甘く感じたのは風邪の所為か。課程改正のため移行措置にて珍しく一学期どころか三期、一年半に渡って日本語など教えし受講生十名より今期が高級二班と最上級にて此れにて卒業、記念にとSwarovski製のクリスタルの亀を頂く、記念にと形ばかりのものといはず値が張る高価上質な物であるところが香港か、贈答品で喜び少なき余もこれには至極。樋口一葉日記『よもぎふ』のうち「若葉かげ」から読み始める。最初の頁の隅田堤の桜雲の写真とて『太陽』明治30年のもの、『太陽』なる雑誌名がこの世から消えしこと寂し。