富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

四月二十二日(土)曇のち晴。午前中競馬予想新馬短途。文化中心で『失憶星期一(Monday)』サブ監督。筒井康隆がすでに使い古したような展開だが、不条理で攻めるべきところを「銃を捨てよ」的な正真正銘のメッセージがあらわれてしまった。どうせなら厳重に包囲されたホテルから大駱駝艦演じる妖怪たち(幻想)を従え警察の包囲を抜けてそのまま地下鉄への地下道へでも去らすべき。そうすれば『Tuesdau』も撮れたろうに。堤真一は好演。監督サブ氏と堤氏、来港。会場での態度に大物ぶり発揮。天星小輪で灣仔(この航路なんと処女乗船)。芸術中心で李纓監督の『流亡将軍』。馬晋三なる1902年に雲南は大理で生まれ1921年より大日本帝国陸軍士官学校に留学、その後、孫文の参謀となり北伐、抗日戦では工兵総司令、国共内戦時の交通部代理部長まで勤めた馬将軍、蒋介石と台湾に渡らず香港を経て日本に亡命。東京のマンションでの二十世紀末の晩年を撮ったドキュメンタリー。秀逸。過去をいっさい語らせなかったのが凄い。これを見て松江君の「語らせてしまった」手法に対して、出演者が自然と語るのを眈々と記録するドキュメンタリーの手法を見た気がする。松江君が悪いわけではない。松江君の作品の場合、彼が疑問提示しないかぎり誰も語らないのだから。でもやはりドキュメンタリーとしては『流亡』のほうがずっと上。