富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

甲辰年三月初二

気温摂氏3.8/14.1度。朝の寒さは二週間前の三月末以来。晴。武田砂鉄『なんかいやな感じ』(講談社)を家人も読んでみると著者と同じ東大和市で育つたので地元の「たなべ文具店」だとか、それでもそちらは四小学区なので一小に在籍の家人にとつては少し遠い芝中団地は七小学区だつたが越境でよく遊んだのださう。それにしてもやはり「なんかいやな感じ」。これが雑誌の連載でればさらっと一読で済むのだらうが単行本なので短編が続くと「なんかいやな感じ」なのかもしれない。

白水社の本棚』2023年冬号だつたかな?外で読み捨てゝしまつたのだけど、そこから「プーチンの戦争、プーチンの身体」池田嘉郎より(以下、要旨)。プーチンを支へるものは何か。「よりよき生活が享受できるようにあった、丸々一つの時代」「プーチンが統べるロシアこそが「ノーマル」なのである」。2000年に総統になつたプーチンにとつて地方領袖跋扈の準無政府状態を何う克服するか。原油価格上昇に転じ中央政府財源増加が有利に作用。ロシアが今だに「人的統合に基づく地方政府支配、合法と非合法の境界線の曖昧」は解消されてゐない現実。プーチンの統治はKGB時代からのノウハウで今でも「優れて人治的、パーソナル」である。統治がパーソナルといふことは「任期がないといふこと」。ロシアの政治が「個人の統合によって成り立っていーる」こと。プーチンは「個人」なのか?もはやプーチンプーチンといふ国家機関、国家装置なのではないか?と思へた。習近平はその域には達してゐない。

今日の朝日新聞朝刊の特集「「日本人」を決めるのは」が面白かつた。

日本の多くの人が抱く日本人像は、なお「純粋な日本人」にほぼとどまっています。(略)明らかに重視しているのが血統です。(略)ここでいう「血統」は生物学的概念というより「血統意識」に過ぎません。日本列島には有史後も様々な人が渡来し混合したので純粋な日本民族なるものは存在しない。本質的な「日本文化」を定義することも不可能です。でも、多くの日本人はこの国にいる人々の多様な背景を見ないことにしているかのようです。福岡安則(社会学埼玉大学名誉教授)

所詮、無いもの強請り。何でも良いのだけど何か自分が落ち着ける胎内のやうなものがあれば良くて、それが「日本」といふ、吉本隆明的にいへば「共同幻想」そのもの。自立できない奴らが「良らば大樹のかげ」結果的には「死なば諸共」的な、結果的には自民党に鳩まるしかない思考力ゼロで「日本」に縋る。烏合なので何か象徴がほしい。そこに打つて付けなのが「天皇」なるもの。「何だかよくわからない」が象徴には最適で昭和、平成に今上までご人格でも宜からう。なので、それを肖る。あまりの節操なし。王の首を刎ねるやうな市民革命が生じたことがない思慮浅き国民国家。我が国はあまりにさま/\な意味で「畏れ」に欠ける。