富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

たびキュン♡早割パス

辰年正月十七日。気温摂氏4.3/12.2度。夜中より朝方まで雨(4mm)。

JR東日本のこの閑散期のお得な企画。「たびキュン♡早割パス」なんて随分とチャラ/\してゐてヤングが春の旅立ちを前に仲良しと思ひ出つくりのお手軽な小旅行のためだから。

だが利用に年齢制限もなく高齢者も利用可。「青春18きっぷ」が1982年春の売出し開始で42年になるが当時18歳だつた若者が今年、還暦である。当時の青春18きっぷの利用者がそのまま加齢で今でも18きっぷを発売を心待ちにして颯爽と18きっぷで旅してゐる。このキュン♡パスも、きつと旅で心がキュン!とするなんてことは絶対にない高齢者が購入して旅行してゐるのだらう。

f:id:fookpaktsuen:20240226204506j:image

2経路のみは新幹線か特急の座席指定もできるさう。そこで今まで乗つたこともないし今後も乗る機会はなか/\ないであらう山形新幹線を終点(新庄)まで乗つて陸羽東線で古川から東北新幹線で戻るルートを設定。常磐線の特急は全席指定なので自由席がなくキュン♡パスで特急利用できず別途、特急券の購入が必要。そこで往路は水戸線で小山に出て復路のみ特急料金発生するが早割で35%割引だから1,030円と大した負担ではない。これで実行決定。行程表(上図)で小山→宇都宮は宇都宮ラインの普通列車としてゐたが小山を同時刻(07:02)に発つ東北新幹線(やまびこ201号)利用。早朝の新幹線と高を括つてゐたが宇都宮の生産拠点に出向く社員たちで自由席かなりの混雑。

f:id:fookpaktsuen:20240226204518j:image

宇都宮から人生初の山形新幹線(つばさ123号)。朝酒は地元の天鷹。福島からの奥羽本線もまだ乗つたことがなかつた。


f:id:fookpaktsuen:20240226204639j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226204645j:image

福島から列車は地面に下りて走る。板谷峠。勾配が30〜38‰といふ強烈な路線。かつて赤岩、板谷とスヰツチバックのあつた路線を新幹線が時速60kmほどの速度で登つてゆく。幹線を時速270kmで疾走する新幹線が、この雪ある山間でこんな走りをすることが何とも印象的。峠越えをすれば新幹線は速度を上げるかといへば米沢周辺もまだその速度。常磐線どころか水郡線より遅い?と新幹線嫌ひの家人も嬉しさうに驚く。

f:id:fookpaktsuen:20240226204734j:image

今月初に鶴岡から眺めた月山を今日は天童の方から眺めるのが何とも不思議な感覚。あの月山の向かふが櫛引黒川とは。奥羽本線のうちこの福島〜新庄の区間山形線)は新幹線と普通列車が走る併用路線で普通車の車両も標準軌なのが珍しい(写真は701系5500番台)。山形を過ぎると狭軌仙山線との並走が面白い。新庄到着。


f:id:fookpaktsuen:20240226204729j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226204801j:image

新庄ではどこでお昼を食べようか?と車内で家人と食べログ見ながらあれこれ話してゐたが呟板にこの新庄行きを載せてゐたところかつて新庄の新聞社支局に勤務してゐたM記者より新庄駅からは城址の方に少し歩くが蕎麦「さもん」に是非とお勧めいたゞいた。


f:id:fookpaktsuen:20240226204957j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205002j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226204948j:image

ごちそうさまでした。悪天候の場合は駅前の急行食堂といふ選擇もあつたが本日は快晴で雪も随分と溶けて屋根から雪解け水があちこち滝のやう。


f:id:fookpaktsuen:20240226204840j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226204851j:image

鶴岡の中心地は散歩してみると実に愉しい。まさに昭和食堂の世界。


f:id:fookpaktsuen:20240226205142j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205146j:image

あちこちにかつての大店の蔵が散見される。今では鶴岡も郊外にAeonとユニクロ、Cainzがあつて賑はつてゐるのかしら。

f:id:fookpaktsuen:20240226205204j:image

新庄駅に戻り、こちらも初めての陸羽東線に乗車。この列車は新庄から暫く奥羽本線と並行して走るのだが20人ほどの乗客の半数以上が鉄っちゃんで順番に最後尾から線路の写真を撮影。皆さん撮り鉄のお作法か誰かが撮影中は邪魔をせず順番を待ち一人が撮影済ますと次、次と。中国人と思はれる若者は何故にみんなが列車の最後尾から遠くを撮影するのか理由を知らず不思議さうにそれを眺めてゐたが折角だからと彼も撮影をしてきてスマホの画面を眺めてゐる。だが隣りの線路が山形新幹線に合はせた標準軌でこちらが狭軌とはすぐにピンとはきてゐない様子だつた。

f:id:fookpaktsuen:20240226205316j:image

JR東日本で一昨年だつたか最も赤字額が大きいのは羽越線の村上〜鶴岡間の年間50億円だつたかで「営業係数」では陸羽東線の最上〜鳴子温泉秋田で100円稼ぐのに2万円だかで最も高い数字だつた。真剣に存続が危ぶまれる。


f:id:fookpaktsuen:20240226205324j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205320j:image

鳴子温泉。仙台にも足かけ7年住んでゐたのに鳴子温泉に来たこともなければ実は宮城県だとも認識してゐなかつた。鳴子温泉に来たのだから聖地のやうな滝の湯へ。

鳴子温泉「滝の湯」- 公式

行楽シーズンは混雑するのかもしれないが今日の午後は3人ほどで、とにかくお湯も摂氏45度とかなり熱いから長湯もできない。


f:id:fookpaktsuen:20240226205525j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205511j:image

まだ2時間以上あるので温泉街の猫を愛でてこちらにも一浴。

鳴子・早稲田桟敷湯 | 鳴子温泉観光協会公式HP

昭和27年に早稲田大学理工学部の学生がボーリング実習をしてゐて掘り当てた温泉なのださう。こちらも滝の湯と同じ公共浴場。泉温は摂氏87度で熱交換での予熱を石床の床暖房に利用がまことに心地良い。


f:id:fookpaktsuen:20240226205628j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205625j:image

今日は日差しも暖かいから尚更だが雪が本当に随分と失せてゐる。歩きやすいのだけれど、これが東北の2月だと思ふと……。

f:id:fookpaktsuen:20240226205646j:image

陸羽東線で小牛田からの折返し列車で古川へと向かふ。


f:id:fookpaktsuen:20240226205714j:image

f:id:fookpaktsuen:20240226205708j:image

ワンマンカーの料金表示には坂田からの羽越線全線の料金表示があるが新庄〜酒田の羽越西線は運転取り止めが続いてゐる。

JR東日本では、国土交通省が行う国道 47 号線高屋道路の「(仮称)高屋トンネル」を陸羽西線のトンネル直下で交差させる工事のため、陸羽西線を走行する全列車の運転を取りやめ、同区間でバスによる代行輸送を実施しています。

この赤字ローカル線では、このまゝ再開の無期限延期になる可能性大。大学生の時に仙台から仙山線で山形に出て新庄から陸羽西線で酒田まで乗つたことがあつた。酒田から飛島に船で渡り宿(民宿のやうなYH)に泊まつた。翌日、飛島から酒田に戻る船から眺めた鳥海山がとてもきれいだつた。

f:id:fookpaktsuen:20240227003715j:image

古川まで来て陸羽東線の終点である小牛田まで乗車しないのはまことに残念。小牛田に向かつてしまふと本日中に水戸まで戻れない。去年の七月末に石巻線で小牛田にまでは出てゐたが、その小牛田〜古川の路線が抜けてしまつた。古川の駅前は事前に多少は覚悟してはゐたが飲食店も皆無。駅舎もNewDays売店タリーズコーヒー、土産物の売店があるばかり。NewDaysで鶏唐揚げ弁当と酒を購入して新幹線(やまびこ68号)に乗る。

f:id:fookpaktsuen:20240226205746j:image

古川駅の新幹線ホームに、こんな昭和みたいな水飲みの水栓があつた。コロナでは使用禁止だつたのか今では復活してゐるやうだが誰も使ひもしない。新幹線は退屈。常磐線の特急(ときわ79号)で水戸に戻る。乗り鉄、飲み鉄なので今日のくらゐの行程だと疲れもしないのだが朝からビール4缶と日本酒5合は一寸飲み過ぎ。それでもしゃっきとしてゐるから余計に飲めていけない。友人も身体の不調を来したと聞き、さう思ふ。