富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

癸卯年八月十九日

気温摂氏13.6/25.6度。一気に夜半から朝方は随分と寒くなる。猛暑でそれが長引くと観念してゐたが寝室で寝る時にいつの間にか窓を閉めるやうになりパジャマも着て薄掛けも二枚重ねるやうになつてゐた。

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昨日は午後、馴染みのお湯屋にゐたのだが午後2時になるとサウナのなか、脱衣所、食堂スペース迄モニタはジャニーズ事務所東山紀之社長)記者会見。ジュリーは登壇せす。社の姿勢として「ジャニーの痕跡この世から一切なくす」と嘯いてみせるが少年喰ひ散らかしたジャニーなる妖怪は生前にその厳罰を受けることもなく他界して(本人にしてみたら傷みもなくなんて幸せなことだらう!)今更その痕跡をこの世から一切なくすといつても、もうあんな少年喰ひ魔は現れることはなく(さういふ意味「だけ」では「人類史上最も愚かな事件」©東山紀之だらう)寧ろ猛省すべきはジャニー少年喰ひを見て見ぬふり、で放置した社会であつて、さうした日本の社会、世相こそ革められるべきと認識されるべき。だがそれもなくジャニー醜聞騒ぎだけで茶化してお仕舞ひ。ジャニー少年喰ひの悪癖はもう40年も前から言はれてゐたことなのだが、それを深刻にとらへてゐたのは『噂の真相』だつたり鹿砦社だつたり、のちに文春も加はるのだが当時噂されてゐたのは吉田秋生『バナナフィッシュ』のパパディノぢゃないがお稚児趣味のシンジケートでもあつて芸能界ばかりか政治家、財界にも同趣のジイサンたちに少年を供給することで〈帝国〉が庇護されてゐたのではないか、と。それにしても呆気にとられたのはそんなジャニーズ事務所に子どもを預けてしまふ親たちの思考回路と判断力。小学校高学年から中学にかけての息子にヘンなジジイから「ユー、遊びにおいで」と電話があつて息子を平気で行かせてしまふ、そんな「親の顔が見てみたい」と呆れるが実際にアタシは息子をジュニアに行かせた親を二人知つてゐる。親は寧ろ誇らしげ。息子が甲子園に出ることになつて、と同じ感覚。だがこれは7歳の娘を四谷大塚に行かせて塾講師が卑猥に画像撮影してゐるなんて想像もしない親と感覚は一緒。中学受験での有名校への進学もジャニーズJrでの活躍も同じ。親と社会のバカさはジャニーにも勝つても劣らぬ社会の恥部なのでせう。


こちらは村上湛君が邦楽主幹務める石川県立音楽堂で8月末に開催された舞踏の会の映像。冒頭の吉村古ゆうさん〈善知鳥〉で「羽抜け鳥の報ひ」の前からのから、足袋の指先に見入つてしまふ。雄輝師匠からの真骨頂。歌舞伎でいへば勘三郎XVIIとか。井上八千代もアタシが知るのは先代で武原はん師匠とか歌舞伎座でも。昭和の終はりの頃に雀右衛門の会とか懐かしいかぎり。芸能が白拍子だとか将軍義満による世阿弥寵愛といつた源泉にあると思ふと芸能なる世界に「健全なる発想での健全化」を求めることもおかしいでせう。たゞ今の世の中ではもう「芸のためなら」なんて割り切りで少年少女が喰ひものにされることは絶対にダメなわけで、それもさうした〈装置〉が存在してゐることは尚更。