富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

岡久広シテ〈姨捨〉観世会秋の別会

癸卯年八月十七日。気温摂氏19.9/26.6度。
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早いものでもう十月。先月のモバイル消費も1.2GBほどで我ながらケチも大したもの。基本契約3GBで前月の余剰が最大3GBで残るのでいつも6GBで翌月を迎へる。
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上野駅からアメ横に入り美都商事へ。こちらでもう20年くらゐ前に購入のロンソンのヴァラフレームのライターがガス注入不能になつてゐたので専門店に持ち込んでみる。今ではもう線香に火をつけるくらゐしか使つてゐないのだけれど。「もうヴァラフレームでも黒の皮巻きは貴重ですよ」と店の方。やはりガス注入できずオーバーホールお願ひする。銀座。地下鉄の銀座駅で笛の松田弘之先生邂逅。大ファンなのだけれどさすがに「ご出勤ですね、今日も楽しみにしております」なんて声かけもできない。大和屋シャツ店。ワイシャツは基本、白で柄物ももたず色物は唯一、薄いピンクのシャツが好き。この薄いピンクのワイシャツは香港のAscot Changで誂へて以来で大和屋では初めて。微妙なピンクの色合ひで路上で自然光の下で色を見せてもらふと通りがかりの外国人観光客が珍しさうに眺めてゐる。少し早いお昼で大和屋のすぐ近くはレストランあづまなのだけど鳥ぎんに行つてみる。開店前の行列で外国人も多くアタシの目の前には若手の人気俳優MH君がマネージャーと並んでゐた。一巡目で入店できずレストランあづまへ。ハンバーグとご飯。何だかもう若松の豆かんの楽しみもなくなつてしまつてGinza Sixの星吧でエスプレッソ一服して観世能楽堂観世会秋の別会。

岡久広シテの〈姥捨〉。昨年の十月二日は御宗家先代三十三回忌の追善能で御宗家がシテで姥捨を勤められた。それが秋の別会で今年は岡師である。それが昨年の御宗家の渾身に比べ本当に永遠の時の流れを彷徨ふかのやうな、それが良い意味で延々と。今日は本当に一期一会のやうな岡久広の姥捨。この方のその動き、世界に松田先生の笛がまたこれが見事。皷の大小はさておき御宗家地頭で他がとてもそれに合はせきれない地謡になつてしまつたが、そのなかでシテと笛だけで見事な140分間の一調のやうな空間。そして今日もワキで宝生常三さんの美声が本当に冴える。「夕蔭過ぐる月影の、はや出で初めて面白や」からの上ゲ歌の音の調べ、シテとの掛ケ合も(ワキにトチリもあつた?)じつに声がよく合ふ。今日もワキは狂言山本東次郎師の〈成上り〉。これも円熟の極み。そのあと〈夜討曽我〉十番斬の小書き。お能でもこんなチャン/\バラ/\があるのか。曽我兄弟に斬られ役で関根祥丸君の身体機能が群を抜いてゐる。祥丸君は来年の春の別会で道成寺に大抜擢される。十郎を討つ役(仁田忠常)でワキ方の殿田謙吉もやはりこの方が出ると殺陣も見事に決まるから。

観世会恒例でスポンサーのハウス食品でカレールーのお振舞ひ。

X-BLEND CURRY(クロスブレンドカレー)| ハウス食品

御宗家がカレーが好きでハウスなのださう。せっかくのいたゞきものだけれど能楽堂でカレーの小箱持つたご婦人方といふ光景もいつもおかしなもの。それにしてもひどいお客さんもゐるものでカレーが要らないなら返せば良いのにゴミ箱に捨てゝあつた。ちょうど余分なチラシを捨てやうと思つてゴミ箱を除いたらカレーがあつたのでゴミ箱も汚れてもゐないし、それも貰つてしまつた。本当に勿体ない。

舞台のあと村上湛君と茶人Tさんと銀6の裏手で立ち話。あまり書けないが面白い。日曜晩なので銀座サンボアに寄ってさっとハイボール一杯。O君にさながら日曜晩はこゝが安宅の関でキミは富樫だと。


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いつも帰りの特急で夕食は東京駅でまい泉カツサンドと、はせがわ酒店で八海山。カツサンドは三切れといふ老人にはちょうど良い小さいサイズがありがたい。久ヶ原のT君は三切れはご祖母が「身を切る」と嫌はれたのが遺訓ださう。出かけて傘を置き忘れはいけない。今日はずっと緊張しっぱなし。

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東京は雨降らず銀座では日傘さすほどだつたが水府は朝から小雨で今日は21mmの降雨だつたやう。