富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

台風13号

癸卯年七月廿四日。白露。気温摂氏21.1/25.4度。台風13号直撃。

昨日、日本語解さぬZ君が県の運転免許センターに印度の自動車運転免許を元に我が国での運転免許取得に出向いたところ日本語での対応のため日本語のできる者を同行させよと言はれ(それはHP上でも求められてゐるのだが*1)Z君から同行してくれないかと請はれ今朝雨も随分と降るなか免許試験場へ。颯爽とマツダロードスターで免許センターに現れた。朝8時半の免許試験場は1/4くらゐ外国籍の申請者なのではないかしら。それでも説明は文書でも口頭でも日本語オンリー。勿論、英語での対応で全て済むわけではないが「最低」英語だらう。自動車運転に関する内容くらゐ英語で理解できる人類は(我が国を除けば)それなりの割合である。初期対応の職員(多くが県警定年退職のオジサンたち)は当然、日本語なのだが少なくとも所謂「やさしい日本語」で誰にでもわかりやすく説明すべき。だが当センターでは「やさしい日本語」以前に「標準語をマスターしないと」。強烈な茨城弁の早口*2それでもそれなりに理解する外国籍の方々も多いのは技能実習生といふ名の出稼ぎで農家や工場などの仕事現場で茨城弁に慣れてゐるから。Z君は今年2月に誰だかに同行してもらつて簡単な学科試験は通つたが実技で落ちてしまひ昨日は一人で来て日本語解せぬため追ひ返され本日三度目の正直だつたがアタシと8時30分の受付開始で待ち合はせ窓口に並んだところ学科試験要する免許書換への1日の受付は25人まで。すでに規定数に達したため本日はもう受理できぬといはれる。この25人規程については確かめてみると県警のHPにもさう書いてある(外国免許から日本免許への切替/茨城県警)。だが「英語版はPDFファイルをご覧ください」に肝心のそれが書かれてゐない。更に窓口の職員からZ君の提出した外国の自動車運転免許のJAFによる公的な日本語訳の文書は「無効」と透かしがあるのでオリジナルコピーを持参しないといけないと指摘を受ける。だがZ君は2月も昨日もこれを提出して問題なかつたといふ。この齟齬はいつたい何なのか。

JAFのHPで「外国の運転免許証の翻訳-コンビニのマルチコピー機の使い方」参照。サンプルに「無効」の透かしあり。HP上に説明も見当たらずJAF茨城に電話で尋ねるとネット上で翻訳申請してコンビニでプリントアウトすると本来、偽造防止のための複写の際に出るはずの透かしが技術的な問題でコピー機の性能や調整によつて「濃く」出てしまふのださう(濃くなくてもダメだけど)。これについては免許センターの職員も周知できてゐることのはずといふのだが。免許センターに尋ねたら担当の職員(外国免許証からの書換へ)は知つてゐるのだけれど今朝のZ君の場合、25人枠が爆満となつたところで担当者は窓口におらず「一般」の職員が何うやら「無効」対応について理解しておらず「ダメ出し」となつたやう。25人枠のことを英語の情報に載せることもオリジナルコピーに偽造防止の「無効」浮かしを出さないやうにすることも我が国の正確さと技術力を以てすれば改善は容易だと思ふのだが……Z君は「なぜ、そんなことで」と少し驚きの表情。Z君、ごめんね、月の南極に無人探知機を着陸させてしまふやうな先端技術のお国から来たら日本の後進国ぶりはさぞやあばらかべっそんよね。


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台風の雨風がひどくなつてきたのでバルコニーのハイビスカスも安全な場所に避難させたけれどハイビスカスの花は夕方には萎んでしまふので朝のうちに切り花にしたら濡れたら濡れたで花びらの水滴もきれい。栃木名物の「レモン牛乳」のクッキーを洒落土産げでいたゞいた。現在は「牛乳」は国産100%しか牛乳を名乗れないため栃木乳業のそれは牛乳ではなく乳飲料で名称は「関東・栃木レモン」。その栃木乳業の関連商品のレモンクッキーが画像・左。それに対して右は堂々と「レモン入牛乳」名乗るが実はレモン入牛乳を製造販売してゐるのではなく(それができないことは上述の通り)クッキーの名称として「レモン入り牛乳」なので問題はないといふことか。

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夕方に雨風もかなりひどくなつたが珈琲豆が枯渇してゐる。家人の運転で馴染みの珈琲屋近くまで行きポンチョを被つて珈琲屋へ。さすがに大通りを歩いてゐる人もゐないがテレビのニュースで見ると暴風雨のなかやはり傘をさして歩かうとする人たちがゐて見てゐてもはら/\するほどの危険。水府は昼前と夕方に殊に豪雨で本日の降水量は141mmとなる。千葉と茨城県北部は線状降水帯が停滞して250m以上の雨量を記録。高萩など河川氾濫もあるやうだが状況すらわからず。

バカと無知―人間、この不都合な生きもの―(新潮新書) 言ってはいけない

橘玲バカと無知―人間、この不都合な生きもの』(新潮新書)一読。昨年10月の出版で評判となり何か書評読んで読んでみようかと思つたら市立図書館で20数番待ちで8ヶ月だか待つた。面白くはあるが、それほどすごいことが解き明かされてゐるわけでもない。まぁこの程度は常識として理解してゐなさいね、程度。

能力の低い者は自分の能力が低いことを正しく理解できてゐるのか?

ダニング=クルーガー効果の心理学者 David Dunning の問ひだが、これだけかう取り出すと、この程度のことは飲み屋でサラリーマンが上司の愚痴で言つてゐさうなこと。それでも(あとがきから引用になるが)「バカと無知の壁」を乗り越えて考えてみるべきこととして著者はかう述べる(以下、要旨)。

SNSには陰謀論など渦巻いてゐるが我々が誤解してゐるのは、それを何か異常な事態と思つてゐることで、さうではなくて現実は陰謀で満ち溢れてゐて、人間にとつての最大の脅威は天変地異でも捕食動物でもあんく自分と同じ陰謀を心に秘めた高い知能をもつ生き物=ヒトに囲まれてゐることで、ヒトの本性(能の設計)を考へれば(ってそれが何なのかアタシにはわからないけれど)世界を陰謀論(それは進化的合理性なのださう)で解釈するのが当然で、それにも関はらず理性や科学(論理的合理性)によつて社会が運営されてゐる方が驚くべきことなのだ。だから誰に陰謀を仕掛けられるかわからない社会では脳は陰謀に適応するやうに進化するに違ひない。かのようにしてヒトは、あらゆることを陰謀で解釈するやうになつた。

何だかバカと無知の壁を乗り越えるどころか自分がその嗤はれる側のバカと無知の中の一人にすぎないのか、とすら思へてしまつた。

*1:外国の免許証を取得した時の方法等について聴き取り審査を行いますので、日本語を話せない方は、通訳の方を手続きが全て終了するまで同伴してください。

*2:家人はかつて運転免許証が海外在住で失効してしまひ、その再交付を当センターでやつた際に簡易視力検査で「はい、右目隠してくれっけ」(文字に書けば判読できるが、これを早口の茨城弁のイントネーションで口にされると、そのニュアンスを文字で伝へることすら難しい。家人はこの「右目隠してくれっけ」を二度「えっ?」と聞き返した結果「はい、難聴かもしれないので先に聴力検査してきてくれっけ」。