富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

磯崎新 -水戸芸術館を創る-

癸卯年二月十一日。気温摂氏3.4/16.0度。終日小雨止まず(それでも1日の降雨量は1.5mm)。四月の野村万作抄のテケツ受取りに水戸芸術館に寄り、これ↓を参観。

磯崎新 ―水戸芸術館を創る―|水戸芸術館

磯崎新氏が昨年末に沖縄で亡くなり磯崎先生の設計による水戸芸術館では当時のプロポーザルや設計図、新先生の記述や芸術館のシルクスクリーン図など集め今月1日より展示(6/25まで)。建築家で設計と思想がこゝまで一体化した方も珍しいだらう。新先生は広場が作りたかつた。駅前のバスプールのやうな空間ではなくてヒトが集まつてくる空間。それでも本当に残念なのは芸術館が思想に基づく空間の創造だけではなく来館したヒトが寛げる空間があれば良かつたこと。コンサートホールと劇場の共有するホワイエにわずかに坐る場所があるがテケツなしで入れる空間にはサザコーヒーのわずかのチェアしかないのだから。同線も不自由。とにかく敷地内を歩いてゐると直角に曲がることを強制される。思想の体現を優先するあまり“実用性”が多少どころかかなり蔑ろにされてしまつた。アタマデッカチ。これに対するアンチテーゼが伊東豊雄水戸市民会館のやうに最近思へてきた。

磯崎新の著作を集めた本棚だけでも一見の価値あり。週刊本シリーズで同氏の『ポスト・モダン原論』あまりに懐かしい昭和60年。


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晩に家人がご飯を土鍋で炊いて金沢旅行で七尾の福ちゃんから貰つてきた「へしこ」を解してくれてまぜていたゞく。お酒は桐生で求めた赤城山。今どき「男の酒」と銘打つてゐる。お茶請けに金沢の「巻絹」と中田屋のきんつば。


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▼最近、能楽の“緊張のなかの解放”とでも良いのかしら、あの世界にもつと浸かりたいと思ひお能ばかりで歌舞伎見物は疎か。松嶋屋さんの霊験亀山鉾も到頭見ずに終はつてしまつた。歌舞伎はこれから何うなる?ともう随分と長い間いはれてきてはゐるが梨園は御曹司らも頑張つてゐる。今月の南座の花形歌舞伎など見てみたいところ。

▼(尊子の一コマ漫画、明報)香港で大量に捨てられるコロナ簡易検査キット。香港の分別型ゴミ箱にコロナ簡易検査キット用の専用ゴミ箱が設へてゐることは政府の判断に対する揶揄。

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