富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

磯崎新の「都庁」

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癸卯年二月初九。気温摂氏▲1.1/18.5度。快晴。天気予報によれば水府で氷点下の気温は今日が最後ださう。いつも寄る珈琲店で春めいたパッケージのお菓子を並べてゐて(造花だけど)お花を一輪いたゞいた。昼間の陽気。この季節になると本当にちょっとおかしな人が市井に現れてくるから可笑しなもの。もうすぐ啓蟄

平松剛『磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ』(文藝春秋、2008年)読む。このところ建築関係の書物をいくつか読んでゐたところで磯崎新さんの逝去があり。この方の著作は現代思想的で難解なところがあり、この平松剛『磯崎新の』は直観的に面白いだらうと思つたが正解。

磯崎新の「都庁」―戦後日本最大のコンペ

和田誠の装丁がまた傑作。裏表紙の丹下健三とコンペを勝ち取つた都庁舎のあの超高層ビル


当時、朝日ジャーナル』で丹下健三の権威的なタワーはダメで磯崎新の遠くから見えもしない地面に這いつくばった建物の凄さを、今にして思へば大西若人さんとかだつたのか、磯崎都庁が現実にならなかつたことを残念と書いてゐた。これ『磯崎新の』を読むと丹下健三のタワー以外に選定はあり得ないことがよくわかる。鈴木俊一丹下健三の昵懇とか、さういふことだけぢゃなく建築の思想的な意味においても。

ところで磯崎新がコンセプトデザインを描いたりするのが黄色いトレーシングペーパーだといふ記述があってイエロートレースがどんなものか気になつたらAmazonでも売つてゐて(少なくとも文房具屋とかホームセンターで見たことはなかつた)さっそくこれをポッと注文したことは云ふまでもない。

Bienfang トレーシングペーパー スケッチング イエロー 30.5cm×45m