陰暦二月十七日。気温摂氏4.3/16.8度。
本日、JR東日本の水戸支社企画でE653系(国鉄色塗装)*1で往く鉄道博物館の旅といふ企画あり参加。
水戸駅発08:20で8時までに水戸駅改札前で当日受付だつたが座席は予め指定されてゐるやうだし8時の10分前くらゐに受付に行つたら水戸から何十組が乗車か知らぬがアタシのあとにまだ受付済ませてゐないのは1組だけ(今日はこのあと鉄道ファンの時間の正確さには兎に角集合時間に遅れる人なんて皆無なので驚くことになる)。勝田発のこの列車は水戸駅で駅長、助役らの送迎のなか出発。快晴で偕楽園公園の梅が満開の鉄道旅行日和。
車内では今日の参加記念品やお昼の乗車記念弁当*2が配られる。この列車は特急車両だが常磐線の朝の過密ダイヤの中を時間調整しながら走るので停車駅は土浦だけなのだが特急(ときわ60号)に抜かされるばかりか鈍行を抜かすこともできず上野到着は10:27で水戸から2時間余つまり鈍行でも遅めと同じ時間をかけたことになる。列車は上野東京ラインに入り品川では25分も停車。パンフレットでは経由に「横須賀線」とあつたので品川から横須賀線で横浜で折り返して新宿湘南ラインにでも入る芸当を見せてくれるの?なんて期待もしたが甘かつた。横須賀線ではなく品川を発ち品鶴線の旧目黒川信号所(1.3km地点)まで走り山手貨物線に入り大崎方面へといふ成田エクスプレスの新宿方面行きと同じ通行経路。目黒の谷を抜けると恵比寿あたりから線路沿ひを歩いてゐる人が「あれ?」と珍しい国鉄特急を眺める。やはり子どもたちの関心度高く公園でサッカーやドッチボールなどしてゐても、この珍しい列車が通るとゲームは中断で口をあんぐりと開けて。一番誰も関心を示さないのは新宿駅。あまりにたくさんの列車が通るからいちいち気にしてゐられない。列車は大宮へ向かふわけだが池袋から埼京線なんて通り抜けられるはずもなく駒込の先から中里トンネル(中里トンネルの謎: 気まぐれ写真日記)を抜け東北本線(宇都宮ライン)に合流。つまり常磐線から三河島から日暮里に入りぐるりと山手線の外回り(時計回り)に駒込まで来て東北本線に入つたわけで山手線で今日走つてゐないのは駒込〜日暮里間だけ。駅でいへば田端と西日暮里の2駅といふことになる。12:25に大宮着。水戸から大宮まで実に4時間5分の長旅。鉄ちゃんなので鉄道に乗つてゐるだけで線路の分岐を見てゐるだけでも飽きないのだが。とんでも混雑の大宮駅から埼玉新都市交通(ニューシャトル)で鉄道博物館へ。JRがE653系の特別列車ならニューシャトルも団体専用列車として1990年に導入された1050系の52編成(東北新幹線やまびこ塗装)を宛つてくれる心憎い提供である(復路の団体専用列車は最新の2020系)。
鉄道博物館参観は初めて。香港から東京に戻つてゐるときに一度訪れたいと思つてゐたが実現できずにゐた。4時間以上の参観時間がとられる。皆さん(この団体に限らず)まず鉄道ミュージアムショップに出向く方多し。限定商品など入荷少ないアイテムは朝のうちに売り切れてしまふらしい。ガイジンの鉄ちゃんで彼は鉄道関係のガチャ玉オタクらしくガチャ玉を買つて開けては中身を説明する動画撮影といふか、あれはライブかもしれない、に夢中。いろ/\な変人少なからず。
今日のために481系のプレートが「ひたち」になつてゐる(ひたちは485系なのだが)。車内が懐かしいかぎり。このエル特急の登場まで常磐線では急行ときわで祖母や父は普通車のボックスシートを嫌ひときどきグリーン車に乗せてくれてゐたが特急ひたちの登場で特急でグリーン車を選ぶことはなかつた。
やはり鉄道の旅で寂しいのは吉田健一も書いてゐるが新幹線の登場。それによつて寝台列車が消滅。アタシが最後に乗つたのは昭和63年に京都南座で顔見世のあと急行銀河で東京に戻り、そのまゝ仕事に行つたとき。自分が百鬼園先生と同じ時代に生きてゐたらやはり何としても特急の展望車に乗つてみたかつた。実に優雅な旅である。
鉄道博物館の楽しみは鉄道関連設備の保存と展示。アタシの大好きだつた「みどりの窓口」のマルスのシステム。子どものころ、これで特急指定席券など発見する職員の手捌きを憧れながら眺めてゐたものだつた。
今日はこの団体による見学のためにジオラマ(Nゲージ)も昨年の常磐線全面復旧記念に作られた「花咲く常磐線」の演出があり常磐線を651系や657系、かつての蒸気機関車に牽引された客車特急「ゆうづる」なども走る。水戸支社の運転手や車掌、整備職員らによる「鉄道のおしごと」の発表もあり。
このE653系(国鉄色)は常磐線では今月初旬には「水戸うめ号」だとかもあつて何度も走つてゐるのだが松戸や撮り鉄の聖地北千住など撮影隊が多く、品川でも大宮でも歓待を受けた感あり。映像は撮らず録音だけの音テツも。中にはホームに平伏して撮影といふより後ろ姿は列車を拝んでゐるやうな少年もゐた。気持ちはよくわかる。自分も君くらゐの年ごろ鉄道駅のホームに張り付いてゐたものだつた。
撮り鉄も「かなり」だが、この今日の特別列車に普通車で16,000円もかけて乗車してゐる人たちもかなり個性的。基本的に「乗り鉄」なのだが、ずつと車窓からの風景とかを録画する映像家、朝から車窓の風景を眺め延々と飲み続ける「呑み鉄」、時刻表に首ったけの「ダイヤ鉄」、連れてきたJRマスコットなのだらう馬のぬいぐるみ🧸を被写体に沿線の風景や鉄博での光景など写真に撮るオバサン、ずっと寝てゐるオジサンなど様々。