富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦正月初六

陰暦正月初六。気温摂氏▲5.6/6.9度。晴。これくらゐ寒くても、もう寒さに感覚が麻痺してゐるのか日が差してゐれば暖かく感じられる。もう春なのだらう。それでも今日は寒風が厳しく夜も更に寒くなりそうなので夜ごはんのあとは早々に寝てしまつた。
昨日のことを今朝綴つてゐて昨晩の記憶がぼんやりとしてゐたのだが今日ラヂオでピーター=バラカンの声を聞いたら昨晩これをネット配信で見たことを思ひ出した。
映画『ロックフィールド 伝説の音楽スタジオ』公式HP
威爾斯の農牧家の兄弟が、といつても農地は日本では想像もできない広大な丘陵にあるのだが、ギターを弾き始めてデモテープを倫敦のレコード会社に持ち込んだのだがハナから相手にもされず、それなら農宅にレコーディングスタジオを作つちまえ!で、そこに都会での録音で息の詰まつたミュージシャンらが訪れるやうになり世界的なアルバムがここで生まれ……のお伽噺のやうな話。これをBBCなので紙を使つたモンタージュなどでほのぼのとまとめてゐる。この配信を教へてくれたのは仙台出身のかつてのロック少年で某バンドを売り出して超ビックにしてしまつたK君。日本でも80年代にキティの伊豆スタジオとか、山中湖のスタジオとか都会の喧騒を離れのんびりとレコーディングできるやうさうしたスタジオができたのは、この英国の威爾斯にあるスタジオの模倣だつたのだらう。だが伊豆や山中湖の滞在はアルバムでも1週間くらゐでとても時間のゆとりがなかつた。スタジオとは不思議なもので機材やスタジオの音響も大切なのだが、それを超えた環境があるわけでアタシも海外では豪州のPerthでのレコーディングに立ち会つたことがあつたがPerth郊外のスビアコといふ閑静な住宅地にあるスタジオは設備は粗末なものだつたが独特の音を醸し出してゐた。日曜の朝だつたのだらう出かけてしまつたら店も閉まつてゐて閑散とした中央市場の大きなドームの中に誰が聞いてゐるでもないのに朝のABCのニュースがスピーカーから流れてゐて、そのニュースがヘッドラインで“Japan, the emperor Akihito died”と伝へた。豪州にとつては前の大戦での戦敵である。静寂のなかでアタシの昭和は終はつた。
昨日、県立図書館で表千家の雑誌(茶道雑誌)で村上湛君の能楽についての文章を読んだのだが雑誌棚でその雑誌が上で下段に『淡交』があつたのも表裏の順で上下に並んでゐるのかしら。そして表の上弾に『観世』があつた。2月号で御宗家が書かれてゐるのは「この芸とは衆人愛敬を以て一座建立の寿福とせり」といふ世阿弥の言葉を受け、人々が困難にある時こそ、その幸せを願ひ、そして人々から愛される舞台であり一座であることが求められてゐる、と。

それにつけても思ひますのはコロナ禍も一つのきっかけにして露はになつた世の中の乱れです。

として政府からの給付金、補助金など巡る業界や団体の有利、不公平などあることを憂はれる。「残念ながら能楽界といへども例外ではありません」と。そんな世の中でも良い舞台を勤めることしかないといふ観念。

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香港警察はラヂカルな民主運動家・古思堯を北京冬季五輪開幕前に国安法で身柄拘束。国内で人権弾圧の続く一党独裁政権による五輪開幕に抗議して棺桶を担いで中联办に抗議行進すると公言してゐたが、その実行前の逮捕で道交法や公務執行妨害での逮捕はできないが事務所の壁に貼つてあつたスローガンなど国家転覆、政権転覆扇動等に当たるとしての検挙。この扇動企図罪の適用は1997年以来初。かうなると何の実動が伴はずとも思考だけで「反政府的」で身柄拘束ができてしまふ。勾留中の長毛らと長年の同志で或る古さんはステージ4の癌患者でかなり窶れてゐるが保釈も認められず。

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香港では人民の感染ばかりか下水道水の感染量まで検査。その結果、香港島で超ハイソな住宅地のピークから行政長官府、米英総領事館などある重要地域の下水道網が感染してゐるのだとか。


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