富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦十一月初五


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中央政府の香港マカオ弁公室主任が「香港は西側の民主主義追求し社会悪化」(朝日新聞)と宣ふのは中共DNAで当然の発言と理解できるが香港市長のリンテイまでもが「外國民主制度 香港不能照搬」と宣ふとは。

f:id:fookpaktsuen:20211208073625j:image「民主」從來沒有全世界劃一的標準,任何民主政制目的都是改善人民生活,如果民主有害人民生活就是本末倒置,正如有些西方國家應對疫情都出現問題。「民主」はそもそも世界同一の基準があるわけでなく、民主政制の目的はいずれも民生の改善改善であるが、もし民主主義によって人々の生活に問題を生じさせるなら本末転倒で欧米では新型コロナ感染対策について、その民主主義の弊害が出ている……とリンテイ。

香港は一国両制下にあるので海外の民主主義の基準はそのまゝ適用できないといふ見解も指摘してみせるリンテイ。中国をAとして欧米をBとした場合、香港は従前Bに属する社会であつたから、そのBの香港がAの中国に主権移行でもBの制度を維持するといふのが一国両制である。しかしリンテイは香港は一国両制であるからBはそのまゝ適合しないといふ。何といふ矛盾だらうか。

18日の立法会選挙については愛国者であれば(って、その前提がそもそもおかしいのだが)主張や政見の相違はあつて当然であり活発な議論が期待されるといふ。リンテイも何うすれば、これほど思考が毀れるのかしら。もう完ぺきにイカれてしまつてゐる。深圳とのボーダーに設置された投票場所ではすでに1.8万人の大陸に居住する香港市民(有権者)が選挙登記したさう。その場所までは「組織」が自動車で送迎までしてくれるさう。とにかく投票率を上げることが目下の目標。しかしリンテイは理想的な選挙実施が実施されることが重要であつて投票率の問題ではないとまで公言するとは(それくらゐ不人気の愛国者選挙なのである)。

歌舞伎やじ馬ばなし

木村隆『歌舞伎やじ馬ばなし』(集英社)読む。歌舞伎について歌舞伎座の櫓のことから始まり節分、俳優祭から歌舞伎座の構造、売店、裏方のあれこれ、芝居作法のあれこれを実に140項目だか紹介してゐる。著者(木村隆)はスポーツニッポン紙の演劇担当のベテランで記者引退後は演劇評論家。この歌舞伎話は同紙の芸能面で連載した「歌舞伎おもしろランド」から記事を選択、加筆補綴したものださう。なぜこれを読んだかといへば播磨屋訃報がメディアに報じられたときにスポニチの記事が段違ひに詳しく3月に倒れて一時は心肺停止で、それから結局一度も意識戻らなかつたと。

訃報「中村吉右衛門さん逝く 梨園屈指の立役 舞台復帰かなわず」スポニチ

久が原T君から、このスポニチの記事を教へられ、これは知つてゐても並みの記者ではさう易々と書けないところ。その記事に続き木村隆といふ同紙OBの追悼もあり。

中村吉右衛門(追悼)木村隆「粋さ、しゃれっけ、凄みで父超えた吉右衛門さん」スポニチ

この方あつてのスポニチの記事なのかと察した次第。そこでこの方の歌舞伎本を読んでみた次第。

  • 歌舞伎座で揚幕番だつた内山正太郎さん(当時68)。俳優一人ひとりの性格が違ふやうに。それぞれの個性と役の性根を見据ゑて一瞬のイキで揚幕を開閉するのだが「コレ」と親指を突き出して、そのコレは大成駒屋のことなのだが「コレの〈隅田川〉などは怖いくらゐ役になりきつてゐるから」緊張も数倍と。「自分が芝居を壊しちゃいけない。役者の気持ちを逆なでしちゃいけない」。「水は方圓に従ふ」。
  • 昭和33年3月の演舞場での吉右衛門劇団での忠臣蔵。勘彌の持ち役は石堂、定九郎、不破数右衛門だつたが開幕15分前に判官役の成駒屋歌右衛門Ⅵ)体調不良と聞き勘彌は判官代役で急ぎ支度をしてわずか5,6分の遅れで開幕。道行のお軽は勘三郎が代役で勘三郎の勘平を勘彌でお互い全くの打ち合わせなしで勤めたさう。その後、今度は幸四郎が風邪で休演となり高麗屋の若狭之助と由良之助も勘彌が代はり一人で一週間で七役だつたさう。
  • 代役といへば昭和63年正月の歌舞伎座勘三郎が病後復帰で〈俊寛〉だつたが8日目から休演で勘九郎の代役が評判に。誰が見ても勘三郎に見えたと。

▼首相動静(6日)17時58分、芝公園の東京プリンスホテル自民党安倍派のパーティーに出席し晋三にご機嫌伺ひ。18時42分、大手町の読売新聞東京本社で「長嶋茂雄文化勲章受章をお祝いする会」に出席しナベサダご機嫌伺ひ。19時34分、… https://t.co/Db8movnjGp