富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

雙十節

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雙十節にあたり「祖国の完全なる統一は歴史的任務であり必ず実現しなければならないし、実現することができる」と习近平主席。辛亥革命の記念日に孫文の強調は中華民国の正統たる継承をしたのが中共であるといふことの正当化。この「正当性の継承」により中華民国中共になつたのであるから台湾も当然その支配下に入らなければならない。

中国軍「台湾上陸」想定した軍事演習|テレ朝ニュース

大公報の社説は台湾への一国両制の適用の有効性を説く。一国両制を創造し、それをきちんと理解して実施してゐるのは中共であり中共意外に誰もその価値を正確に理解できず中共の指導こそ一国両制の根本である。中国共産党こそ。香港は一国両制の実現は香港にも役割があると理解してきたが、この社説ではその中共の引導する一国両制で香港はそれに加はり、その受益者であり検証者であるとする。一国両制が次の章でどう活用されてゆくのか、香港はその実践的な経験をすでに体現し成功の証明をすることで台湾の祖国統一と一国両制で香港はその模範となるべきなのである。

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香港の西九龍に「M+博物館」が11月12日開館。M+の中国モダンアート希克コレクション(こちら)収蔵の芸術作品に艾未未の反政府的作品(艾未未天安門広場で毛主席の肖像がある天安門に中指を突き立てゝゐる写真作品)などあるとして批判され話題に。その展示室が公開されてみたら毛沢東の肖像を使つたポップアートがあり文革もシャネルとモチーフにされてゐるではないか。
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中国のモダンアートは政治的な思想や主張が削ぎ落とされた中でのポップ性、どこかもの悲しげな笑ひ(泣き笑ひが多いことは誰もがよく知る印象であらう)が多く、中共もそれが政治的に正しいものであるとは認めたくはないが、この毛主席のポップ作品など公開で党の許容性を見せることになる。「党を否定しない」こと。

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香港は台風で記録的な豪雨。香港から450kmだか遠い南方を通過して海南島に向かつた台風であつたが強大で、この距離でも香港では風雨剛し。豪雨と強風で倒木など被害もあつたが香港警察の自動車が倒木で事故となり、それが話題に。当然のやうに「天誅」といつた揶揄が聞こえてくる。香港警察に対する表立つた批判はもはや許せないなか強権の警察に対して人々のできることはかうした揶揄といつた表現しか残つてゐない。

▼第36回になるのださう、水戸映画祭といふイベントが昨日と今日の週末、水戸芸術館で開催される。山形フィルムフェスティバルなど地方都市での成功例もあるが水府のこの催しは上映作品は2日で6本と寂しい。そのうち2本は小津安二郎で『彼岸花』と『秋刀魚の味』。もう何度目かわからないが後者を見る。

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娘をどう嫁にやるか、の漠然とした気持ちだけ。何も考えてゐない社会。家族の関係も実利的でよそよそしい。会社でも役職についた彼らは仕事といつた仕事はしておらず明るいうちから飲んでばかり。あの戦争はいつたい何だつたのか。「負けて良かったのかもしれない」。最初見たときはかなり違和感のある非現実性であつたが今はもうこれが日本の戦後の現実を実に見事に描き出した作品に思へてならない。虚無。毎回、何かしらの発見があるのだが、あれほどサッポロビール(赤星)が強調されてゐたか。小津は調度品や画面に映る品々に格別の選別があるので赤星は小津が愛飲してゐたのだとわかる。主人公の平山(笠智衆)が重役を務める会社の工場(冒頭のシーン)があるのは川崎で、友人の河合(中村伸郎)は川崎球場での大洋対阪神戦を見に来る。ネオン街は蒲田か。自宅があるのは池上あたり。平山の長男・圭一(佐田啓二)は新婚で東急池上線石川台駅近くのアパート住まひ。この老境のやうな作品が還暦で亡くなつた小津の遺作なのだから制作はまだ50代の最後。平山や河合、堀江(北竜二)ら旧制中学の同級で卒業してから40年といふのだから50代半ばであつた。今これを見るとまるで70代後半か傘寿のお祖父ちゃんである。f:id:fookpaktsuen:20211011201131j:image

魅力度は全国最下位でも食べ物は豊かな茨城。さまざまな野菜が獲れて栗が今は季節。この食べ物の中で茨城県産ではないのは麵麭🍞の小麦粉と牛酪くらゐだらう。