富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

水戸の西洋堂

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HUAWEI副会長兼CFO女がカナダで金融問題で逮捕され身柄拘束が解かれ中国に生還。

「没有強大祖国,就没有我今天的自由」

なんて素晴らしい発言なのだらう。まさに、これ。この逮捕がかなり政治的だつたのは事実だが中共も彼女の帰国をこゝまで政治的に演出できるのだから大したもの。深圳の空港には深夜ながら愛国的市民駆けつけ革命歌を歌ひ赤旗振って彼女の帰国を祝つてゐた。強国万歳。それにしても香港にとつては何も騒ぐほどのことではないのだが大公報の一面にかうもデカ/\と報じられるとうんざり以外の何ものでもないだらう。しかしこのタームで重要なのは香港にとつても祖国は一つの大きな家なのである。本当は香港的には「没有強大祖国,就有我今天的自由」だがさういふことをいふと叱られるどころか国安法で逮捕されてしまふ。この牢固な家の家族の一員であることをしつかりと心に銘じて生きていかなければいけないことを大公報は教へてゐる。

香港で天安門事件追悼集会を毎年主催「支連会」解散決議 :朝日新聞

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支連会が昨日、幹部会議開き正式に解散決議。これでついに中国国内で天安門事件追悼は一切駆逐されたことになる。20数年間の香港でのこの運動で「中国の民主化」を香港の自分たちにとつても必須ととる従前からの民主化世論に対して香港本土派が発生したことは興味深い事実であつた。香港にとつて1989年のこの天安門での民主化運動はまことに大きな影響であつた。台湾でも六四追悼の動きはあるが香港以上に台湾の本土派にとつては距離のあることである。

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家人がまるで里斯本のやうな、否、澳門のやうなポルトガル風の夕食を拵へてくれた。

水戸の老舗の西洋料理店・西洋堂(こちら)が10月20日で閉店の由。1ヶ月前の急な発表でご亭主が呟板に書かれてゐたが感染も堪えたが311のあとはもう客足が落ちてむしろ今日までよくやつてきたといふ感だつたさう。かつて西洋堂で会食だとか披露宴だとか水戸で最も堂々としたものだつた。それが、もう昔からのオーセンティックなフレンチが地方都市の旧市街でやつてゆくのは困難な時代。松本の鯛萬(こちら)のやうに松本城とか観光地近くで建物も由緒あるとか金澤や長崎とかならまだしも、である。西洋堂は今の場所に昭和40年代に移る迄はうちと同じ商店街のご近所。今の傾城水戸の東側の道路を入つたところにあつた経営者のご自宅の一角で昭和50年代にはアンジュといふ小さな温かい雰囲気の小さなレストランも営まれてゐた。テーブルクロスの柄が優しかつた。そこがとても好きだつたが今はもう道路拡張でその敷地も残つてゐない。

佐伯啓思「国民主権」の危うさ 佐伯啓思(朝日新聞)

佐伯先生がよくぞ書いてくれた、といふ内容の正論である。保守とは何か。主権の責任意識のない国民。危なげな民主主義。曖昧な民意。それを汲み取る政治家のポピュリズム。この佐伯先生の連載が朝日で始まつて「なんで朝日に」「朝日の変質」ともいはれてゐたが今のアタシにとつては(同時代的なところがあるからだが)丸山真男よりも佐伯啓思の方が納得するとこは大きい。

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