富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦九月十五日の満月


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香港の湾区一体化で香港人の広東生活が地産も楽なら老後も憂ひなしと大公報。実際には香港の厳しい住宅事情で90年代から香港市民が広東省に少しでも広い別邸構へるやうになり周末は広東といふ市民も多かつたのが事実。「報道規制がある」「ネットがつながらない」といふ不便を除けば生活は快適で報道規制も周末に香港の新聞が読めない程度でネットもGoogleYoutubeとは無縁の中年以上にとつては然程不便も感じないことだつただらう。だが永住となると話は別の気がするが。内地から返港で隔離免除が検討されるなか香港の中联办宿舎で感染発生と蘋果日報。 

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未明に起きて朝まで俳人・西東三鬼(さいとうさんき、1900〜1962)の『冬の桃』読む。三鬼が俳句雑誌に連載した〈神戸〉といふ連載が、この本に収められてゐるからで、その〈神戸〉と続編の〈新神戸〉それに〈俳愚伝〉が昭和50年に出帆社から出版され、それが2年後に毎日新聞社から『冬の桃』と改題し出版されたものが、これ。アタシ自身俳句の嗜みもなくなぜ三鬼の〈神戸〉を読まうと思つたのか失念。三鬼は岡山の津山出身で家は代々の漢学者、年の離れた兄に東京で扶養され歯科医、貿易会社員を経て句作に専念。新興の無季俳句で戦争を主題とした句も多く京大俳句事件でも当局に睨まれるなか戦時中に単身神戸に移住して、そのときの回憶がこの〈神戸〉。多国籍な宿泊者、酒場女が住ふ神戸のホテルは空襲で焼け追憶の彼方に。

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七五三参り始まつた水戸八幡宮(重文)

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母校は今では共学で制服も復活

この学校の西側は水府でも空襲で焼かれてをらず古い家屋が路地に密集してゐた。その路地を抜けて廿三夜尊、保和苑といふ公園に授業をサボつて出かけてゐた昔。その途中の寺もない墓地に山村暮鳥の墓がひっそりと。


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この墓の裏手から崖を降りた窪地が保和苑の紫陽花園。今は季節外れだが、そこを那珂川の方に下ると手打ち蕎麦の名店〈みかわ〉あり。徒歩なのでゆっくりと酒が飲める。酒は笠間稲田は磯蔵酒造の〈磯里〉。セイロのあと奥久慈の軍鶏の南蛮蕎麦啜る。 


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水府で菊正宗はアタシの知る限り笠原にある〈酒のやまや〉か上水戸の〈メガドンキ〉にしかない。今日は上水戸のメガドンキも遠くないので歩く。さすがに酒を背負っての復路は疲れるところ。アマゾンで多少値が高くても配達……と思ふがプライムで配達料無料で菊正宗も一升で1,360円なのでけして高くない。定期おトク便で月1で1本の配達にしてみたが、とても足りなく月2本に変更しなければいけない。


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日が暮れて東空に旧暦九月十五日の満月が上がる。雲一つなくまことに名月。まぶしいほどの月明かり。