富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

佐藤ゆたか


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アンソン陳方安生女史は先月末に愛娘に先立たれ娘との「政治活動は八十まで」といふ約束もあり政治活動から引退を表明。 「香港の良心」元政府ナンバー2のアンソン陳方氏が政治活動引退へ「娘との約束」:朝日新聞 大公報はこれを「賣港阿婆 忽然割席」と悪口。蘋果日報は国安法制定で香港の高官らも米国渡航査証発給禁止対象に、と。

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ガリバー旅行記(画:平松麻)

昨夕の朝日新聞に週1連載で『ガリバー旅行記』あり。柴田元幸訳で第3回だといふ。小説、殊に米国小説はほとんど読まないが柴田元幸訳は大好きで、この『ガリバー』も3回目だといふが今まで気づかず。朝井リョウ『スター』が続いてゐたと思ひこみ。遡つて初回から読む。子どものころから馴染んだ物語だが柴田訳がとても新鮮。

それぞれ高さ三十センチの柱が八十本建てられ、荷造り用紐の太さの非常に頑丈な撚り糸を、鉤を用いて多くの帯布につなぎ、職人たちがこれを私の首、手、胴、脚に巻きつけました。最高に頑強な男たちが九百人集められ、柱につないだ多くの滑車を使ってこれらの撚り糸を引っぱり、かくして三時間と経たぬうちに、私は持ち上げられ機械に乗せられ、しっかり縛りつけられたのです。

それにしても何故に今この『ガリバー』なのか。 新連載小説『ガリバー旅行記』一流の風刺と異文化への想像力(監修・原田範行さん)朝日新聞

内面の描写や、言葉自体の洗練を重視する今の文学の傾向は、20世紀以降に強まったものです。18世紀に書かれた『ガリバー』には、事実の描写で物語が展開する面白さがあります。19世紀になるとチャールズ・ディケンズジョージ・エリオットらが登場し、小説の書き方に「王道」が確立していきますが、そういうルールから自由なところも『ガリバー』の魅力です。

岩波文庫平井正穂訳など既にいくつも名訳が存在しますが、翻訳には耐用年数があります。これまでの訳ではあまり見られない「です・ます」調にしてみたり、2020年の読者が読んで違和感の少ない訳に更新していければと思います。

 文明批評もこの作品の大きな特徴です。「小人の国」や「巨人の国」をときにイギリスの実態を映し出す鏡に、ときにイギリスとは対照的な世界を見せる道具に使い、いろんな角度から近代社会を相対化してみせています。

今回のコロナ禍で、生産性だけを追求してきた現代文明のあり方が再考を余儀なくされています。そんな時代の岐路に、スウィフトの鋭い文明批評が何らかのヒントになればうれしいです。まあでもまずは物語の面白さを、平松麻さんのすばらしい挿画とあわせて楽しんでいただければ。

と柴田先生。
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知己のお姐さんが夏用に、と布製口罩を縫つてくれた。昨日の大野屋のもさうだつたが通気性が驚くほどに良い。

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早晩に水戸駅南口の「佐藤ゆたか」といふホルモン焼き酒場に寄る。初めての飲み屋ではまずモツ煮込み注文するが、これがしつかりしてゐて上品な塩味で恐れ入る。

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「佐藤ゆたか」ご亭主がサントリーハイボールのポスターになつてゐる。

ほんと居酒屋番組に出てきそうなステキな酒場を見つけてしまつた。

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水戸駅南の混凝土打ちっぱなしの集合住宅
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書店では売り切れになつてゐた『アサヒカメラ』7月号がアマゾンより届く。篠山紀信荒木経惟ハービー山口ら著名な写真家がアサヒカメラ休刊にコメント並ぶなか森山大道先生のが印象的。

どんな写真でも印刷してなんぼだと思っている(略)。雑誌だろうがポスターでも全て。一枚の写真は本当に力を持っていて、時間を超えていく。それがたまたま誰かに見られ、その人の記憶や何かと照合してくれればいい(略)。

この雑誌名物の新製品分析の「ニューフェース診断室」で最後のドクター務めた志村努教授(東京大学)が、この20年間のハイエンドカメラの方式変遷について語つてゐる。

APS-Cサイズのデジタル一眼レフの登場

マイクロフォーサーズによるミラーレスカメラというジャンルの確立

③ 35mm版フルサイズのミラーレス機の主流化

で②と③にインパクト与へたのが(ニコンでもキャノンでもなく)パナソニックソニーであつたのもデジタルカメラの最近の潮流示す象徴的なこと、と。御意。実際に、このアサヒカメラの最終号でも巻頭に広告出してゐるのは唯一、ソニーなのだから。

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アサヒカメラ(1972年7月号)撮影:篠山紀信

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疫禍以降、ラブホが満室なのって初めて見た……社会は回復の兆し?

澳門カジノ王・スタンレー=ホー博士の殯儀広告。4人の妻で六男十一女で孫が十二人だから何家も少子化か。これから、この遺族が何のやうな話題を振りまくのか。

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