富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

太古城騒乱

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農暦十月初七。晴。昨日の区議会選に向けた民主派の活動が「暴徒化」し新華社の建物が打毀しに遭つたことに中央メディアは激怒、また暴徒による親中人士への「私刑」の酷さを強く叱責。反政府メディアは昨日の警察による民主派活動蹂躙を伝へる。


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本日は沙田や大埔など各地の商場で和理非の抗議活動あり。そこに防暴警察が踏み込み混乱に。今になつて思ふと714の沙田デモで警察が抗議者追いかけNew Town Plazaに入つただけで、それにどれだけの非難あり警察も対応に苦慮したか。今ではさうした配慮もなく「暴徒」鎮圧で堂々と商場に入つてきてしまふのだから。 

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本日は「香港人 反警暴 七區緊急行街」として沙田や大埔など各地の商場で和理非の抗議活動あり。そこに防暴警察が踏み込み混乱に。今になつて思ふと714の沙田デモで警察が抗議者追いかけNew Town Plazaに入つただけで、それにどれだけの非難あり警察も対応に苦慮したか。今ではさうした配慮もなく「暴徒」鎮圧で堂々と商場に入つてきてしまふのだから。太古城では午後5時からか「東區集氣人鏈日」としてCityplazaの商場内で「人の輪」の抗議活動。アタシは午前中から出かけ午後にジムの帰りにこゝを通つたぼちぼち集まる人たちものんびりしたもの。Swire集団下のCityplazaはかうした抗議活動に緩いところ防暴警察現れ商場内にある飲食店だかからの通報だとして抗議者1名連行。和理非の抗議者らが警察に出ていけコールで警察は一旦退散。すると今度は抗議者がCityplazaの警備責任者になぜ警察を入れたのだと詰り一騒動。本当に「警察さへゐなければ」。これで済めば昨日からの抗議方の起こす騒ぎ、勇武派による暴動、それに対する警察の過剰な鎮圧……で終はるところ。だが連日のやうに予想もしてゐなかつた何かが起きるのが昨今の香港。晩7時半だかに太古城で「血だらけ」の傷害発生と速報が。何かと思ひテレビのニュースを見れば港島東区区議会に太古城西から選出されてゐる趙家賢議員(民主党)が耳から血を流し蹲り彼の耳を囓り落としたらしき狂人が抗議者らにボコボコにされてゐる。

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大きくもげた左耳は路上に落ちてゐたが周囲の誰だかが、それをビニール袋に入れ本人に「はい」と渡し(これはヤクザが指を摘めたときも落とした小指の先は治療に大切なのだが)自分の耳を見て仰天する趙議員……そりゃ卒倒するだらう。この現場もすごいが、それがテレビで流れてゐるのだから。

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この狂人は「香港は大陸」などと国語(普通話)で叫んでゐたらしく刃物をもち和理非の抗議活動に来てゐた家族3人を路上で襲ひ、もう1人も襲つたところで趙議員が仲介に入つたところ揉み合ひとなり趙議員の耳を噛み割き発狂したまゝ逃げやうとしたところを抗議方の市民に捕まつた。


区議会選まで3週間。それでなくとも民主派圧勝、建制派大敗と予想される選挙で抗議方が騒ぎ勇武派が暴れゝば少しでも建制派に支持が戻るか……だけが望みのところ大陸系らしい狂人が民主党の現職の立候補者を襲つた、それも耳を噛み千切つたのだから「とんでもないこと」。この傷害事件で一度は引き上げてゐた防暴警察が退去して太古城に戻る。先ほどに比べより多くの住民らが路上に出て「黒警、ヤクザ警察は太古城から出ていけ!」と連呼。陋宅からも歩いて5分ほどの距離での騒動だが既に夕方から酒を飲んでゐたので野次馬にも出向かず。


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さすがに中道左派のリベラル系中産階級多き太古城で住民は歩道や商場のバルコニーからの警察抗議で防暴警察もそれを鎮圧できず路上占拠するばかり。

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警察はなす術もなく退散。警察の車に誰かが雑物を投げたやうで車内から警官が数名出てきて抗議者らに催涙弾数発放ち逃亡……本当に情けない香港警察の醜態。  

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このやうな社会不安の週末に我らが「諸悪の根源」林鄭は?といへば明日からの第2回中国国際輸入博覧会に出席のため赴滬で今晩はこの騒動も遠く夜上海。周二にそれから戻るはずが急きょ旅程変更で上京、周三に韓正副首相に謁見の由。

林鄭月娥將轉往北京 周三將獲國務院副總理韓正接見 - RTHK

叱られにゆくのか解任の打合せか。通常の首長ならこんな上海出張取りやめで香港で現場指揮だらうが最悪の林鄭で何うせゐても何もできず「亀縮」で官邸に籠るばかりなのだから上海は出張の無駄だが北京出頭はまだマシか。

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BS朝日の日曜スクープで遠藤誉センセイ炸裂! 香港の混乱で香港から資産家たちが逃げ出し大湾区の経済中心がマカオにシフトといふご神託。いつも「とんでも」な持論を実しやかに力説できるところが遠藤センセイの真骨頂である。

このThe Christian Science Monitor紙の香港の抗議活動まとめた記事は読み応へあり。さすがCSM紙である。この記事のなかで香港大学でジャーナリズム専門の鍛治本先生のコメントが出てゐる。この夏の間さまざまな出来事がありニュースの信憑性も疑はれるなか一連の運動のなかで流言飛語となるフェイクニュースの分析をしてゐる先生で非常に興味深いところ。

Sometimes the problem isn’t false news, but interpretation. A video of a police officer who was beaten by a small group of protesters until he pulled his service revolver and shot one teen point-blank drew sharply different responses. Viewers sympathetic to the movement saw police brutality, Professor Kajimoto says, while police supporters saw violent rioters threatening an officer’s life. “It is not just selective editing,” he writes in an email. “People see what they want to see – that’s the real danger of this type of video. It confirms and reinforces our preconceived biases.”

佐藤卓己先生のメディア論でも指摘されるところだが“People see what they want to see”であり香港はまさにそれで混乱に拍車がかゝつてゐる。だが一つ気になつたのは

As for the Prince Edward incident? “It is total nonsense,” he says. But the question is how to refute it. “If you say, ‘This is what people believe,’” you are part of the ecosystem trafficking in fake news.

といふ部分。831の太子站疑惑につき “It is total nonsense”といふ指摘あり時節柄このコメント部分だけが一人歩きしないか、と。注視すべきは“If you say, ‘This is what people believe,’” you are part of the ecosystem trafficking in fake news.といふことなのだが。831に太子站で警察による殺人まで起きてゐるか、いずれにせよMTRが現場の監視カメラ映像での全貌公開拒んでゐるわけで、それの公開がない限り831については殺人など警察による残虐行為の有無には言及しないでゐた方がいゝであらうし、831で抗議方が信じてゐることをナンセンスと言ふことじたい、この白黒ショーの舞台に上がつてしまふことになりかねず。

我們面臨的最大事情,是即將到來的全面管治,或者說絶對掌控的一個世界。這個世界在大陸科技的幫助之下,可能會快到來。這不是香港中國問題,是全世界問題,美國也在做,很多國家都在加強對所有人的監控。
這個世界來到時,社交媒體可能是唯一個人的武器。因為這個全面管治通過大數據、人臉識別、信用制度等,下一步可能就在香港推了。那個時候,也許我們會慶幸還有wechat(微信)可以討論。