富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

林鄭「撤回」


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大公報1面の意見広告は何も変哲ないやうだが今日は親中央政府の土共団体に非ず掃き溜めのやうな建制派の中ではまだ見識ある劉佳兆と譚惠珠が副会長の(会長は当然、中央政府系)全国港澳研究会なる団体によるもの。内容は逃亡犯情勢こそ「外国勢力の介入」指摘するが、それ以外は社会安定、一国両制の大事を説き行政長官支持で海外ばかりか国内でも香港への負の印象拭ひ去り秩序回復、未来を築いていきませう……と穏健といへば穏健。その上で記事も一国両制の維持、普選は基本法全人代で決定するもので民主的発展は斥けられるものではない、辞任発言漏洩された林鄭が香港の難局脱出に引き続き努力……陳腐な内容ではあるが昨晩もあつた「暴徒による暴乱」の記事が5面にやつと出てくるのだから昨日の港澳弁の記者会見内容受け、辞職できぬ林鄭を支援し何うにか状況良化を図りたい意思なのか。

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それにしても蘋果日報のトップ記事ある、この昨晩の太子站での身柄拘束ぶりはもはや警暴。

【逆權運動】8軍裝警太子站強壓青年在地致昏迷 一度阻急救員救人 | 即時新聞 | 要聞 | 20190904

1人の無抵抗の若者を6、7人で押さえつけ嘔吐、意識不明の相手に未だ複数で圧力かけた上で昏迷のなか手錠まで掛ける、それの何処が警察に必要な最小限の暴力なのか。頸髄損傷とも聞く。更にマスコミや乗客らに囲まれた警察は意識不明の青年を構内の管制室の方にまで運搬。骨折や昏迷の怪我人は運ばないといふ小学生でも知つてゐる常識が黒警には通じず。反送中にボランティアで関はる救急隊の支援も警察は拒み救急車到着後の青年搬送に「かなり状況が悪い」と判断したか何十人の機動隊かけつける。本日午後4時の警察記者会見も記者からこの拙い対応指摘され「青年を別の場所に移した(引き摺つた、が事実)のは身柄拘束現場を100人程(の記者や市民)に囲まれ安全優先で站の管制室に移すべきと判断した」とか言ひ訳するが報道官もタジ/\。この青年は太子站の発券機破損行為でMTRからの通報で身柄拘束したさうで容態は安定といふが何うなものか。

午後になりSCMPが林鄭が条例撤回といふニュース流す。午後4時に官僚、行政会議成員に「その他大勢」つまり建制派立法会議員を籠城中の旧総督府(現・礼賓府)に集め「撤回」宣ふといふ。遅すぎ。「6月に「撤回」していれば警暴の独立調査委員会も不要だつた」と「物言ふ商人」マイケル田北辰(立法会議員)。御意。結果論だが林鄭の覚悟遅延(判断ではない、覚悟だ)が多くの致命的な傷を香港に与へた。それにしても、この3ヶ月でひどい老化。

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で午後6時前に突然、テレビの画面が変はり林鄭現れ予め録画のビデオメッセージ流れ始める。

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逃亡犯条例改正「撤回」。林鄭の判断ではなく

中共は逃亡犯条例「撤回」してでも国慶節安泰をとった

……といふこと。この撤回宣言受けて大公報は林鄭の以前の明るく健やかな写真なんて持ち出してきて、とても前向きにこれを速報。だがあまりに遅すぎた「撤回」。

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警暴は「警監会」充実で対応と特別調査委員会設立否定。「これから皆さん協力して問題を解決していきませう」ってそも/\林鄭自身が起こした騒動。責任を何う理解しているのか……あ、すでに漏洩された録音で謝罪してゐました。つまりあの私的会合での所感漏洩から、この「撤回」までが時系列で繋がつてゐる。とても、これで問題が解決するどころか快方に向かふとも思へず。


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香港の戦後の典型的な陋巷家庭に生まれ育ち才媛で香港大学ソーシャルワーク専攻、香港政府にAO級で官僚としての道を進み優秀であつたが、やはり「勉強はできるけど、どこか当たり前のことがわからない」タイプだつたか。誰でもわかるやうな一般的なことで、とんでもないズレを見せてしまつた。あとは何う自らの幕引き図るか、だが中央政府の奴隷で自ら進退決定の自由もなし。

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その林鄭放映が香港午後6時直前。それを15分後にNHKが7時のニュースで流したのは殊勲賞もの。香港から奥谷特派員は胸元が黒シャツであつた。

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本日の林鄭「撤回」につき歓迎するどころか、あくまで林鄭宣布は「動議」であり、この条例改正は立法会の今期議案に残つてゐるので10月に立法会が再開されると建制派の撤回反対で撤回動議否決もあり、といふ杞憂がネットに流れてゐる。この条例改正について、これまでの林鄭政府の弁を信じれば放つておけばそのまゝ会期末で失効で、撤回も含め形上は遡上に乗せる場合は「二読」「三読」となる。そこで撤回動議が出されその動議が可決されると始めて正式に撤回成功。

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理論上はその通り。但し今回は立案者の保安局長が「撤回」提案し立案者からの撤回請求なので動議は審議もされず投票もない形になるはず。

【大公報】料10月復會執行撤回程序

大公報もさう言つてゐるし林鄭がすでに撤回宣言した「撤回」を建制派もさすがに11月の区議会選前に撤回否決はあり得ない。

CXは先日のCEO辞任で中共圧力の一難越えたかと思つたが今度は会長まで辞任。もう誰もSwire財閥で真っ当な英国人は後を襲へない。このまま中共エアラインになっちゃうの? CXが赤化なら「キャセイドラゴンの赤でよくね?」なんて冗談言つてゐる場合ぢゃない。