富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

うそで日本が溶けていく

fookpaktsuen2018-05-30

農暦四月十六日。溶けてしまひさうな猛暑。気温は摂氏38度だが屋外での体感気温は摂氏48度くらゐだといふ。唯一の救ひは湿度で雨が降らぬため湿度は50%ほど。雨季である、本来は。
▼国会で1年半ぶりだかの党首討論。野党がいくら追求しても怯まぬ晋三。晋三は確実に強権になつた。バカなりの進化。晋三の勝ち。なぜにこんな晋三を与党、官僚、加計も守るのか。森友の籠池夫妻だけが方言危なつかしいので拘留までされてゐたが。少なくとも自民党で昔なら首相といふのは4、5人ゐる先発投手の一人だつたが今では石破君ですら晋三に替はる主戦投手になれぬ首相主導。毎日新聞与良正男
政談「うそで日本が溶けていく」引用。日本はすでに「うそつき社会」を許容してゐる。

「私はうそをついていた」と告白するのには覚悟が要る。白状すれば信用どころか仕事も失うかもしれない。だから普通「よくぞ、うそを認めた」と評価さえする。
ところが、その告白も「うそではないか」と私を含めて多くの人が疑ってしまう。こんな事態を一体、どう考えたらいいのだろう。
加計学園獣医学部新設に関し、3年前に安倍晋三首相が学園理事長と面会していたとする愛媛県の文書について、学園が「当時の担当者が、実際にはなかった総理と理事長の面会を引き合いに出した」と記したファクス1枚(!)のコメントを出した。
既に先週の本欄で「学園関係者が虚偽の報告を愛媛県にしていたとすれば別の重大な問題となる」と予告していた通りだ。仮にコメント通りなら、補助金を出す愛媛県今治市に対し、学園は作り話をして獣医学部新設を働きかけていたことになる。
「一点の曇りもない」どころではない。首相の名前を悪用した詐欺的な行為だったと教育機関が自ら認めているようなものだ。
そこまでリスクを冒してコメントを出すのは、「学部新設とは無関係」を強調する首相を守るためとしか思えない。
名前が使われたことに、首相が抗議しないのもつじつまが合わない。そして学園は今後、面会の作り話は事務局の独断で理事長には責任がないと言うのだろう。
加計問題で首相の元秘書官は愛媛県担当者らと会ったことを1年近く認めようとしなかった。森友学園問題では財務省が公文書改ざんにまで手を染めた。いずれも首相のためであり、権力者に逆らうと自分の将来の人事が危うくなると考えたからだろう。
こうして「うそをついてはいけない」という社会の規範が崩れていく。うそを見逃せば、この国は溶けていってしまう。私は日ごと不安を感じている。首相がまず責任を感じるべきはそこだ。
この話を日大アメリカンフットボール部の問題と同じ構図だと語る人は多い。でも違うのは、相手にけがをさせた当事者の選手がこう語っていることだ。
「監督とコーチからプレッシャーがあったにしろ、プレーに及ぶ前に自分で正常な判断をすべきだった。自分の弱さだと思う」
20歳の若者が覚悟を決めた言葉を、モリ・カケ関係者はどう聞いたのだろう。

▼ 2004年に岡山県で当時小学3年生の女の子が殺害された事件。犯人わからず迷宮入りかと思はれてゐたが別の事件で服役中の男が自供で逮捕。9歳の子どもが学校から友だちと帰る途中で一人で家に戻り網戸開けたところに一人でいた……犯人こそひどいが家庭も無防備すぎ。香港では考へられない。香港では子どもを一人にした親の責任が刑事罰で問はれる。