富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-12-08

農暦十月廿一日。秋らしい雲ひとつなき快晴。昼に中環はハチソンハウスのLawry’sに投資銀行家のL君に誘はれご馳走になる。昼はさすがにビーフステーキも軽めのメニューあり。晩に歌人と北角MTR站のホームでおちあひ九龍湾へ。どーでもいゝ食堂で失敗メニューで夕食済ませ香港大学SPACEの東九龍校舎。知己のT先生の尽力で宝生流狂言の山本家の合同公演。300人ほどの観衆。宝生流のご宗家とは一年前香港で面識得たこともあり受付でT氏に楽屋見舞ひ託しT氏の能と狂言の紹介のあと狂言は〈寝音曲〉で狂言は狭い舞台でもどうにか対応でき観客にもわかりやすいところ。能は〈石橋〉(シヤクケウ)で寂昭法師(ワキ)、ご宗主演じる樵(少年、前シテ)、間狂言(中入り)に(宝生流では通常、演じないさうだが)仙人、そしてご宗主再びで獅子(後シテ)となるが舞台が狭く地謡の方が後見兼ねる関係で後段の一畳台と牡丹が幕前から設へられ余計に筋がわかりつらい。かういふ制約された条件になつてみると能にとつて〈空間〉がいかに大切なものなのかと思はされる。狭くとも御殿の広間ならまだしも近代的な小ホールでは、どうしても物語の空間が想像できず。英語で解説字幕あるがあくまで概説でタイミングもなかなか合はず日本人でも現代人には難解な謡ひは誰彼にとつてもなか/\理解は難しいところ。いずれにせよアタシ地震が能は全くの初心者でよくわかつてゐないのだが。