富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

New York City Marathon

fookpaktsuen2017-11-05

農暦九月十七日。紐育シティマラソン。朝テレビをつけると既にスタテン島からマラソン開始の大げさな実況中継。マラソンは通常早朝から始まるものだが、この紐育は精鋭組でも出発は09:50でアタシは第4組で11時発。8時にホテルを出て黄線のメトロでサウスフェリーまで行き順調に08:40だかのフェリーに乗船。1938年生まれの日米友好野武士のやうな爺さんやブルースブラザースそのまゝの二人組のランナーやマイケルジャクソンなど仮装大会か?といふやうな船内。気は楽。スタテン島の波止場で始発会場(ビレッジ)行きのシャトルバスに40分ほど長蛇の列で並びバスも10分といふがバス渋滞で会場到着は10:20となり厳重な荷物チェック。持ち物は全て指定の透明バッグに入れ持ち込み禁止品も多数あり。とくに背負ふタイプの水分タンクは厳禁。爆弾対策らしい。慣れぬ会場で走る準備におたおたしてる内に15分前で預け荷物のカウンター閉まつてしまふ。勿体ないがジャケットのウェアなど捨てるしかない。慣れたランナーは、もう捨てるばかりの古着を着込み易々と着てきたものを捨て走るばかりでゴールしたら記念のポンチョもらひ、それを被つて帰宅するだけ。荷物預け組はこのポンチョは貰へぬ。明らかに準備は失敗。さすがにメガネやヘッドフォンなど貴重品だけベルトに挟みブルックリンで家人の応援とランデブーを期しスタテン島からブルックリンに渡る大橋の袂から午前11時スタート。ブルックリンの4番街を92丁目から延々とホテル近くのAtraltic Aveまで北上するが沿線の応援は紐育が人種の坩堝といふのもわかる民族の個性豊かな応援で走るほうも飽きず。8哩でAtraltic Aveの円環で無事に家人がゐてくれて貴重品など渡しゴールでの着替へを言付ける。此処からLafayette Ave、Bushwickあたりは応援もかなり熱がこもり本当に楽しいエリアだつたがWilliamsburg南に入ると敬虔なユダヤ人ばかりで教会に礼拝なのだろうか家族連れも寡黙でマラソンなど見ても見ぬふりか応援どころの話ではない。頑なとはまさにこれ。午後30%の雨の予報は朝から霧雨で、このあたりからかなり本降りに近い雨。アタシの漫走では身体が熱くならないので、このくらゐの雨がひどく堪へる。クリーニング屋で真剣にドライクリーニングのスーツにかけるビニールのカバーでももらはうか、と思つたが誰かが抜いたビニールの簡易ポンチョがかなりきれいに路傍に置かれてゐたので、それを被り雨と寒さを凌ぐ。このポンチョがなかつたら途中でリタイアしてゐたかも。グリーンポイントからクイーンズに渡り、その橋の途中でハーフ、クイーンズはロングアイランドシティを抜けて西に進路をとり巨大なQueensboro橋を渡るのだが橋の途中で老ランナーが警官に「ちょっと小便」と橋の欄干から眼下のイーストリバーに放尿は、あれは天下絶景で気持ち良いだらう。小便をかぶるルーズベルト島も災難だが。東59丁目でManhattanに入る。1番街を北上するが、このあたりアッパーイーストサイドはパブが多く昼から呑んだくれが酒酔ひでマラソンの応援も賑やか。これぞManhattanといふ感じだが1番街も北上するに連れ段々と鄙びた風情となり応援も閑散で折からの雨と霧が何とも心寂しい風情。このへんがイーストハーレムで素っ気ない集合住宅が点在。ハーレム川を渡りブロクスに入りブロンクスは掠るほどでマジソンアベニュー橋を渡りManhattanに戻り5番街を南下。それでも東138丁目からで今ではすつかり安全なハーレムを抜けMarcus Garvey Parkを西にぐるりと回り110丁目でやつとセントラルパークの北に出て東86丁目あたりからセントラルパークに入り公園の中をメトロポリタン美術館の裏側を南下して五番街とプラザホテルの角に出て59丁目通りを西に進み亦たセントラルパークに入りゴール。すでに日没。今回は6時間のつもりでゆっくり完走と思つてゐたが雨空のなかゆっくりとそれなりにコンスタントに走り(歩かず)5時間40分の最長時間記録更新でゴール。荷物預けた場合(預けてなかつたにしても)西81丁目まで公園内歩くこと強いられる。手ぶらのポンチョ組なら西77丁目に出られるところ親切な警官がこゝが抜け道だよ、と教へてくれてひと昔前なら夜中など一人で歩いたらさぞや危険だつたのだらう小高い丘を抜け西74丁目に出る。時間見計らひ81丁目とマジソン街の角で待つてゐてくれたシカゴ在住のN先生夫妻は今晩がブロードウェイでミュージカル見物で時間切れでお会ひできず。ABCのコロンバスアベニューに面したニュース中継のスタジオで生中継中のキャスターがアタシのマラソン参加の装束見て「やったね!」と親指を立ててゐる。街中がマラソン祝祭気分。レストランもマラソン終はりの参加者囲んだ応援の家族友人で大賑はひ。家人が西63丁目、リンカーンセンター近くのスタバで待つてゐてくれ、そこでホットココア飲み着替へて59丁目站からメトロでブロンクスに戻りホテルに戻りシャワー浴び着替へて近くのパブで啤酒で乾杯してからDeKalbの消費施設地下のフードコートでラーメン啜る。US$12のラーメンは大して期待してゐなかつたが、とにかく暖かいものを食べたく、塩ラーメンとあつたが無理やり鰹節で出しをとつた豚骨スープといふ不思議な味。さすがに疲労困憊で晩10時すぎに早寝。