富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

『周恩来的秘密情感世界』

fookpaktsuen2017-10-15

農暦八月廿六日。香港の南400km圏に入る程度でシグナル3になるかどうかといはれてゐた台風が香港に近づき200km圏を抜ける影響で朝9時すぎにシグナル8となり強風から午後にはかなり強い雨模様。外出もできず朝から読書。途中になつてゐた蔡詠梅著『周恩来的秘密情感世界』読了。晩に自家製餃子。新西蘭のオイスターベイが合ふ。ワイングラスは飲む前にグラス専用クロスできれいに拭いてあげるとグラスの汗までが美しい。食後に大班𣲙皮月餅。大量に市販の月餅のなかではこれが一番好き。今年の最後の一つ。
▼蔡詠梅著『周恩来的秘密情感世界』について。南開中学時代には演劇で女形を演じ、秀才で容姿端麗の周恩来にとつて親友・李福景の存在。東京留学時代に兄のやうに周恩来の面倒を見た呉瀚濤が恩来にマルクスの『資本論』を貸さなかつたら(瀚濤国府系の人生歩み恩来とは決裂)。日本留学は失意で帰国した恩来は福景と同じく赴英を願ふがエジンバラ大学に合格したものゝ民国政府の奨学金審査に落ち留学叶はず(もし英国のエジンバラで学究の途に進んでゐたら)。さまざまな失意と挫折のなか恩来は職業革命家の道を歩むことになるが中共中央に入つてからも西安事件当時、蒋介石の腹心であつた張冲と恩来の信頼関係や新西蘭人で中共革命のシンパとなつたRewi Alleyなど恩来の結ぶ特異な信頼関係。そして毛澤東の帝王政治のなか唯一失脚せずナンバー2として中共で内政外交に尽力する恩来だが毛澤東との関係はサディスティックで好色、強引さと政治的野心強き澤東に対して謙虚で厳しい逆境でこそ力を発揮し最善を尽くす恩来の対比。全てが本来の自我の隠蔽とそれからの逃避、裏返しのバイタリティーなのではないか、といふ推論は見事。歴史に「もし」はいけないが青年・恩来が英国留学を果たし福景と英国での学究生活を愉しんでゐたら五四運動の当時に左傾はあつても職業革命家にもならず(映画『帝一の國』ではないが)有能な恩来を得なかつた毛澤東が中共掌握できたのか、国共合作はどうなつてゐたのか……と想像すると周恩来一人のセクシュアリティで時代は大きく違つたものになつてゐたことになるのかしら。
衆院選挙についてネットでの拾遺。

  • 「党を作って選挙で審判を受けたら、その政党でやるのが当たり前」と元民進党党首の前原君。ではなぜ「民進党」でやっていなのか?
  • 岩手県庁前をぎっしり埋めた聴衆の皆さんに「岩手3区は小沢一郎さんを!」って呼びかけた時、ちょっとふるえました。こういう日が来るとは。感無量です。……と共産党志位委員長。
  • 籠池氏を長期拘束して反論も出来ない状況での安倍晋三の一方的な「籠池氏は詐欺を働く人間。昭恵も騙された」発言。喚問にも応じず。けしからんにも程がある。