富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2017-06-17

農暦五月二十三日。雨。土曜。土曜朝五時。香炉のお手入れ。線香は鳩居堂、大阪松榮堂と善光寺なので灰も質良し。少し余つたのはジップロックして保存。官邸で周末の書類整理。夕方、金鐘のPacific Placeへ。家人と待ち合はせ迄、Great食品店ぶらぶら。香港はワインまでは無税だがアルコール度数の高い酒は税率高く更に家賃分上乗せでジャックダニエルがHK$430也。日本円換算で4,380円で、ちなみに日本は1,910円。Sotheby's HKでHo Fan(何藩、1931〜2016、こちら)の回顧写真展開催中。参観。上海生まれの彼はテキスタイル事業営む父に連れられ戦後、香港へ。新亜書院に学ぶが偏頭痛に悩まされ学業のストレスが原因と医者に言はれストレス解消に休学しぶらぶらしてゐたが父が気分転換にと買ひ与へたローライフレックス撮つた香港の都市風景がこれ。まさに奇跡。カメラは生涯このローライフレックス一台。1960年代には俳優→映画監督となつたが写真はまさに若い時の、この何も専門に学ばずのこればかり。構図、光、空気の何もかもが完ぺき。雨がひどく外食する気もせず帰宅。帰宅途中に寄つた岡田屋で価格チェック続けると香港は乳製品が異常に高いが明治ブルガリアヨーグルト(日本で159円)がHK$59=839円。とても高くて食べられない。晩に雑煮。呉智英吉本隆明という共同幻想筑摩書房読む。アタシも大学時代にやはり「読まなければいけない」で『共同幻想論』や『言語にとって美とはなにか』を読んだが、ニーチェとか当時、難解といはれたソシュールや日本語として読むのが大変な廣松渉よりもさらに吉本隆明は何を言つてゐるのはさっぱりわからなかつたが、当時すでに『反核異論』が出たりコムデギャルソンのモデルになつたり「戦後の知の巨人」が「ヨシモト」になつていつた時代で「吉本隆明を読まなくても思想上べつに問題はない」と思へてしまつた。でこの呉智英の吉本批判本を読んでみたが呉智英自身が吉本嫌ひで(といふかわかつた上で、だが)吉本隆明の先づはその日本語としての悪文ぶり(難解なのは悪文ゆゑ)を指摘した上で結局のところ吉本隆明の思想が戦後の新左翼的な立場でのルサンチマンのやうな部分を超えて何があるのか?と問ひ、その結果の乏しさを明らかにして、それでも完全否定ではなく呉智英吉本隆明なるものに対する憂ひすら感じる。続けて西部邁『大衆への反逆』(PHP文庫)読もうかと思つたが、これを古本で入手したあとにオルテガも再読してしまつたし西部邁も今更読まなくてもいゝか、と。
  

Li Shengwu, son of Lee Hsien Yang, the brother who announced he was leaving Singapore for fear of repression by a “big brother” state, said: “Not only do I intend never to go into politics, I believe that it would be bad for Singapore if any third-generation Lee went into politics. The country must be bigger than one family.”