富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

大切なものは決してお金に換えてはいけない。宇沢弘文

fookpaktsuen2017-05-21

農暦四月二十六日。小満。曇。日曜なのに朝5時すぎには起きてしまふ。高橋睦郎『在りし、在らまほしかりし三島由紀夫平凡社刊を開く。NHKマイあさラジオ聞いてゐたらラジオエッセーで海外旅行について何だかつまらない話をしてゐるのは誰だと思つたら古市憲寿。なるほど。文章もさうだが落としどころがどこなのかを考えて書く、話すが大事。毎日新聞が一面トップで有識者会議での「祈るだけでよい」に陛下、公務否定に衝撃「一代限り」に不満といふ記事(こちら)。聖上の祈りは全身全霊で晋三に近い御用学者ら主張する「祈つてゐればよい」とする天皇像がいかに国民の感覚とも切り離されてゐるか。「形だけ祭り上げたうえで政治が自らを正当化する権威として都合良く利用したいという考え方がにじむ」と詳細記事こちら)。晋三は聖上の不満に今更慌てまいが、これにより国民が晋三支持から離れてくれないか。こんなことに期待せねばならぬ程に日本は一木一草に宿る天皇制なり。皆川達夫さんの「音楽の泉」でカール=オルフ「カルミナブラーナ」聞く。この序曲が映画の予告編とかで印象的に使はれたりするが気づいたら一度もきちんと音楽として意識して聞いたことがなかつた。せっかく走るつもりが小雨だが雨が降り続け陋宅近くのジムのトレッドミルで走る。昼に日清チキンラーメン久々。午睡。小雨の沙田競馬場からの競馬中継。R5まで掠りもせず。R6で3番人気の単勝的中でR7で2週間の出場停止から復帰の潘明輝騎手(見習ひ)がStar of Yan Oi(2番人気)で勝ち、この単勝とPakistan Babyとの連複的中で今日は勝ち越し。競馬中継見ながら、未明から読んでゐた睦郎『在りし』読了。睦郎のこれまでのいくつかの回顧談に加へ堂本、中井と読んできたので殊更には知らぬ話もなし。たゞ2015年の睦郎による三島由紀夫大人命午前ニ白す祭詞(みしまのゆきをうしのみことのみまへにまをすまつりこと)は熟読。これが綴れるのは愛情ゆゑ。小雨のなか家人とバスで久々に九龍城。九龍城街市の管理事務所前にゐる猫は飼ひ猫でもなく野良でもなく微妙だがエレベータ前の空間の真ん中にぽつんとゐて近くにより屈むと膝に乗つてきて動かない人懐こさ。暫し動けず。新三陽南貨は端午節前に粽が並ぶ。馴染みのタイ料理屋ゴールデンオーキッドに飰す。先帝の御真影はいくつもあるが現国王のものは見当たらず。兄君、父君と三代のものまであるのに。 日曜で道路も空いてをり路線バスで一睡するうちに帰宅。長谷川櫂『文学部で読む日本国憲法』筑摩新書を読む。憲法について憲法学者の見方はわかるので文学部だと何か興味深い見解でも?と期待したが護憲の立場からの平易な憲法入門であつた。
▼晋三は加計学園監事の木澤克之や日弁連推薦外の弁護士ら最高裁裁判官に任命で2019年3月までに長官含めた15人の最高裁裁判官は全て晋三任命。A作や小泉でも14人止まり。自らを「立法府の長」と誤解する晋三は司法も牛耳られると自認か。

評論家の宮崎哲弥さんが唱える憲法96条の改正案が興味深い。改正手続きで、発議に必要な国会議員の条件を3分の2から過半数にし、代わりに国民投票過半数から3分の2にするのだという。現実に手続きの先行改正が出来るかどうかはさておき、この「国会と国民を逆にする」宮崎私擬改正草案が傾聴に値すると思うのは、極めて今日的で現実的な危機感に基づくものだからだ。「英国のEU離脱国民投票で明らかなように過半数ぎりぎりの賛成では国論二分でしかなく国民統合の成果が得られない」