富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦十一月十五日。マカオソウルのご亭主に貸していたゞいたバッハの無伴奏チェロ組曲のCDのうち先づロストロポーヴィチを聴く。七、八人のチェリストのこの曲のCDをもち生の演奏やFMでは更にたくさん聴いてゐるが自分でも驚いたことにロストロポーヴィチはFMで何曲か聴いたくらゐでちゃんと聴いたのは初めて。個人的にはこの曲は枯れた曲調が好きなのでロストロポーヴィチの芸風はわかつてはゐたつもりだが絢爛豪華さには驚いた。もう一つはMaxim Rysanovによるヴィオラによる演奏。マカオソウルご亭主のお勧めだつたが納得。
▼今回(11日)の香港行政長官選挙の選挙人選抜選挙で民主派が圧勝といはれてゐるが正確なところを整理しておくと今回の選抜枠(428人)では民主派が328人当選で76.6%を抑え圧勝。それでも「前回は51.7 %」とわかると「前回も過半数を制してゐたのか」と思ふところだが、この選挙人の数は総数では約1,200名だかで、そのうち選抜選挙枠で選べるのが428人で、それ以外は欽定で選ばれた体制派の選挙人ばっかり。それで326人の民主派に対して868人の中共となる。それでも前回は205人に対して988人で体制派がCY梁と唐英年に割れたにせよ、いずれにせよ体制派安泰。それが今回は体制派も3、4人に割れると民主派の候補に分があり、さらに体制派でも比較的リベラルな候補が民主派に近づき当選でもすると香港の政治状況もCY梁のやうな北京べったりでもなくなる、といふ面白い状況も期待できなくもないことに。それにしても、この表、SCMPのグラフィックは本当に洗練されてゐて見やすい。
▼「アベノミクスよ、どこへ 理論的支柱の「教祖」が変節」と朝日新聞こちら)。「アベノミクスは張子の虎」と素人のアタシも最初から言つてゐたくらゐの国家的詐欺行為。晋三や浜田センセイ、日銀黒田の責任は当然として、それを許したマスコミや国民の責任もあるだろ。
朝日新聞(人生の贈りもの)わたしの半生(こちら)で輪島功一さんが袴田事件の冤罪について語つてゐる。

東日本ボクシング協会会長だった2006年、「袴田事件」で死刑が確定した元プロボクサーの袴田巌さんの再審開始支援を本格的に始めました。)
世界チャンピオンの時から袴田さんのことは聞いていた。かつて、いろいろなジムの会長さんも行動したらしいですよ。でも、うまくいかなくて、やめちゃったらしい。それを聞いたから「ようし」と行動を起こしたわけよ。
(事件があった静岡県にも行きましたね。)
集会や署名活動で、随分行ったよ。東京の後楽園ホールでお客さんに協力を呼びかけたり、最高裁に再審開始を求める要請書を出したりね。静岡の警察の偉いやつに「袴田さんはどうして死刑にならないんだ」と言った。「本当は死刑じゃないから、できないんだろ!」って、悪い口を使ったんだよ。そうしたら「いやいや、まあ」とか言っていた。
(同じボクサーとして、熱い思いがあった。)
司法関係のやつにも「犯人じゃないの、わかってんだろ?」って聞いたら「ボクサーだから、やったと思う」と平気で言うんだから。先入観だよ。「ボクサーは馬鹿なのか。学歴はないけど、馬鹿じゃない。冗談じゃない!」と、けんかしたんだよ。
(袴田さんは釈放され、その活動も実りましたね。)
そう思うんだよね。俺らが頑張ったことがね。結果が出るまでに、どういうことをしたかが大事なんですよ。そうしたことがボクシングにも通じるし、すべてのことに通じるよね。