富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-10-12

農暦九月十二日。早晩にFCCで軽めの夕食のつもりが地下の厨房の大規模改修済んでフルメニュー復活、久々にビーフストロガノフを飰す。ミントのジェラートプロ野球パリーグのCS第一戦をネット速報で見ると日本ハムが7番のレアード、大谷のヒットに続き大野のバントをソフトバンクのピッチャー武田のエラーで無死満塁といふ場面に遭遇。1番に戻り西川の適時打で2点先制、近藤も続き4点目となれば先発の大谷がソフトバンクを1安打に抑へる好投で「もはや勝ち」だが中田がやつと(今更だが)2ランで6対0で勝ち。市大会堂。香港蕭邦社主催の香港国際ピアノコンクールも第4回となり今回も家人は何度も足を運んでゐたが決勝まで済んで今晩は陪審役のピアノ大家が弦楽四重奏団 (The Logos Chamber Group)と組んでの演奏会。アタシにとつて音楽会は実に昨年11月に深圳で牛牛のピアノリサイタル以来。今年7月はこの市大会堂でArcadi Volodosのピアノリサイタルもあつたが本人体調不良で休演。で今晩だがTigran Alikhanovがショスタコーヴィッチのピアノ五重奏曲ト短調Op.57に始まりStefan Vladorによるブラームスピアノ五重奏曲短調Op.34で最後にMikhail Voskresenskyでドボルザークピアノ五重奏曲イ長調Op.81とかなり濃く充実した内容。陪審団の並ぶ中央列の席だつたため隣のReservedの席に途中から李名強先生ご夫妻座られ、その向かふにはピーター=フランクル先生、ゲーリー=グラフマン先生ご夫妻ら錚々たるピアニスト。
▼ドイツのドレスデンの新聞「ザクセン」は事件記事で容疑者の国籍明記ルールを導入。昨年90万人の難民移民の流入で多くの犯罪や事件が彼らによつて引き起こされてゐると考へがちな市民に実情を知らせようといふ狙ひ。「深夜、駅で酔つた5人のドイツ人が……」と記事にすることで犯罪や事件の多くが自国民によるものであることがわかる。画期的。
東京新聞夕刊で岡野弘彦先生の回顧録室生犀星の話。弘彦が折口先生の遣ひで犀星宅に出向くと弘彦を見て「君が春洋さんのあとを務めるのですか、引き締まったいい体で力も強かった、惜しい人を亡くした」と犀星。折口先生亡くなる前の年の夏、軽井沢の借家で、犀星先生訪ねてきて、折口は二階に、弘彦は埃除けに頭に手拭ひかぶり台所で火を焚いてゐたら、その姿を見て女性だと思つた犀星「折口さんの家に女性がいるはずがない」と思つて帰つてしまつた、と……一寸いゝ話。『折口信夫の晩年』が読みたくなる。