富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

安保関連法案成立から1年

fookpaktsuen2016-09-19

農暦八月十九日。中秋の好天気から下り坂。日暮れて尖沙咀は雨。会食のあと銅羅湾のバーS。ドライマティーニ注文すると、こんなジンもあります、と供されたのがBotanistといふスコットランドアイラ島のジン。アイラ島で採れた薬草などだけの味付けの由。初めてのジンなのでショットで味見してみたら、これが美味い。でマティーニにせず、そのまゝ。カウンターにさりげなくショートピースが置かれる。箱の中に1支だけ煙草が残り「箱のデザイン、見てください」といはれ、よく見るとピース発売開始から70周年の記念煙草。中箱の裏に

1946年、折からの品不足により、たばこも配給品だった時代。ピースは自由販売たばこ第1号として世に出ました。開発目標は「世界に誇れる味」。名称とデザインは公募され、数万点ものなかから決定しました。ピースは、開発陣の熱意だけでなく、愛煙家の「うまいたばこを自由に吸いたい」という想いとともに誕生したのです。

と書かれてゐる。戦後70年。晋三と自民党による安保関連法案成立から1年。「とくに世の中が何か変わったわけでなし」が日本の一般的な民草の感覚か。左傾の市民、知識人やマスコミが騒いでゐただけ、と。そんな世相に対して息巻くのが読売カルト新聞の今日の社説「安保関連法1年 様々な危機対処の重要基盤だ」(こちら)より。

アジア情勢が不安定化する中、安保関連法の適切な運用により、日米同盟を強化し、日本の安全をより確かなものにしたい。北朝鮮は核実験や弾道ミサイル発射を繰り返す。中国は独善的な海洋進出と軍備増強を続ける。国際テロの脅威も拡散している。こうした様々な危機に効果的に対処するうえで、安保関連法は重要な基盤となっている。日本の存立が脅かされるような事態が発生した際には、集団的自衛権の限定的な行使が可能になった。平時でも、自衛隊が米軍艦船を防護することができる。安保関連法は既に、日米の信頼関係を高め、防衛協力を深化させるのに大きく寄与している。

だが昨日の読売新聞で御厨先生(地球を読む)非常時の危機対応「ゴジラにどう立ち向かう」の指摘が興味深い。「日米安保体制もアメリカの安全が第一で、それを受け入れざるを得ない究極の日米関係」なのだ、と。このゴジラ論は面白い。以下、要旨。

コトが起きても案の定、政治は何も決められない。政治決定のトライアングル−政治家・有権者・官邸–は混乱の極み。“不作為の均衡”の打破。各省庁のタテワリの壁はゴジラといえども破壊できぬ強さを誇るが“外圧”への危機対応が進む中、一気に「決断力」が見えてくる。政治家–官僚システムから疎外され除外された異端者、変わり者たち。オタク的。あたかもゲームを楽しむかのよう。その社会がどれだけ異端者を抱え込むゆごりを持っているか否か、そのノリシロの大きさこと必要。第2次世界大戦後を長く規定した「戦後」を脱して「災後」の時代が到来。結局ゴジラの再活性化を防ぎつつも日本人はゴジラと“共存”せねばらなぬ運命。原子力発電所と日本人との緊張関係。

このやうな時代に日米安保の強化による日本の安全の確保などといふ感覚が、どれだけ非現実的か。それのわからない読売新聞。読売といへば昨日の社説、公明党大会に対して「憲法改正論議に堂々と加われ」(こちら)も凄い。一政党の憲法に対する判断になぜ読売がかうも乱入できるのか、この感覚の恐ろしさ。