富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2016-09-07

農暦八月初七。雨。ほぼ日手帳の来年版が発売になつてゐたので注文。我ながら本当に文房具が好き。bundoki.comといふサイト(こちら)が楽しい。Un petit 自慢になるがMontblancのボールペン使つてゐる人は少なくないし万年筆こそ著名だがモンブランシャープペンシルを使つてゐるのは自分以外に見たことがない。それとPentelのシャープペンP207は日本では廃番の製図用で0.7mm、これもまた素晴らしい。芯はいずれも2Bで。それでも鉛筆も好き。

▼晋三内閣の科技担当相・鶴保某が大臣就任前の7月にスピード違反で書類送検。反省を述べつゝ「これも一つの経験だと前向きにとらへる」と。さすが「新しい判断」の晋三の選んだ大臣だけあつて見事な発想。
▼立法會選挙で立候補を棄権した周永勤議員(新界西、自由党)は選挙前に香港離れ選挙終はつたら重大な真相発表とのことだつたが本日、立候補棄権するやう中共筋より圧力かかり執拗な説得の上に知己の親中系財界人から棄権の暁には金品提供まで仄めかされたといふ。中共系候補当選させるための明らかな選挙妨害。周永勤はこれを本日、ICACに提訴したが政府から独立組織であるはずのICACも今ではすつかりCY梁の影響下(まるで晋三のために動く黒田日銀の如し)。どうなることかしら。
池澤夏樹(終わりと始まり)場所とモノの出会い(朝日新聞こちら)より引用。

かつて地図は未知の世界の絵図だった。人は地図の上でまず自分の位置を確認し、風景と地図を見比べ、得られた情報によって正しい方向へ歩み出した。国土地理院の地図はそういう風に用いられた。
今の「マップ」ではまず目的地を登録する。あとは指示に従って進むのみで、途中に何があるかは問題にならない。その典型がカーナビ。この世界に未知という概念はない。好奇心に駈られて立ち止まるということがない。
インターネットの書店によく似ていると思う。欲しい本のタイトルがわかれば本は手に入る。陳列台の間をうろうろして何となく目に訴える本を手に取るという無駄な過程がない。便利で速いけれど、世界の境界を広げてはくれない。
現実の世界の上に仮想の世界図がオーバーレイされている。もう現実などという言葉の意味も失われてしまったのか。「仮想現実 vertual reality」ときみは気楽に言うけれど、そもそも「仮想」が「現実」のはずがないじゃないか。

毎日新聞1面トップで天皇生前退位について(こちら)。政府の「退位困難、摂政で」といふ提案。それに対して寝耳に水で玉音放送といふ報道。

陛下がおことばを表明する数日前、宮内庁から届いた原稿案を見た官邸関係者は、摂政に否定的な表現が入っていることに驚いた。官邸内には「摂政を落としどころにできないか」との声が依然強かった。安倍晋三首相と打ち合わせた官邸関係者は、「陛下のお気持ちと文言が強すぎる。誰も止められない」と周辺に漏らした。官邸と宮内庁で原稿案のやりとりを数回したが、摂政に否定的な表現は最後まで残った。
陛下は2010夏ごろから退位の意向を周辺に示されていた。2012年春ごろ、陛下から意向を直接聞いた宮内庁幹部はその場で思わず「摂政ではだめですか」と聞き返した。しかし陛下は象徴天皇としてのあり方について話し、摂政には否定的な考えを示したという。
皇室典範は退位を想定しておらず、政府はこれまで国会答弁で否定してきた。複数の官邸関係者は「宮内庁から官邸に陛下の本気度が伝わっていなかった」と証言。「だからおことばに踏み切らざるを得なかったのだろう」との見方を示す。
政府にできたことは、表現を和らげることだけだった。首相周辺は「最初の原稿案は、より強くてストレートな表現だった」と話す。おことばは「天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら」と断り、「私が個人として」話すとしている。天皇が政治に関与できない憲法の規定を踏まえ、整合性を取ったとみられる。