富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

民主主義は捨てたもんぢゃない。

fookpaktsuen2016-09-05

農暦八月五日。朝、テレビをつけると開票は始まつたばかり。昨晩は投票所に長蛇の列で投票が深更まで延びたため。日本の新聞記者の方々も夕刊に間に合ふか、と言つてゐたが全港区の得票確定は午後7時。70議席のうち建制派40議席泡沫候補まで乱立で総崩れも懸念された反建制派は泛民が23、自決6といふ予想以上に本土自決派が議席獲得で泛民の支持も崩れず建制派が3分の2に届くか、とまるで日本のやうな悪夢も噂されたが一先づ最悪の結果は回避。それも有権者の良識ある得票ゆゑ。2012年選挙と比べると投票率高かつた結果で建制派は745千票→872千票(36.2%)、泛民は前回も得票数では建制派上回り996千票→1,022票(42.4%)と伸ばし、さらに新参の本土自決派が412千票(17%)で世論はほゞ6割が体制に不満といふ6:4比率。前回が建制44.1:泛民55といふほゞ伯仲だつたのに比べ本土自決派が加はり若者の投票増へたのか、いずれにせよ反建制派の底上げ。全港区(議席5)は泛民3に対して建制2で、これも6:4比。梁耀忠(街工)当選。港島区(5議席)こそ1997年以降6:4で泛民有利だつたが今回は非建制乱立で建制派が3議席。シド何秀蘭議員落選。この港島区では香港眾志から立候補の羅冠聰といふ本土自決派の青年がレジーナ葉劉淑儀に続き2位で当選には驚いた。新界東区(9議席)で前回はトップ当選の梁“長毛”國雄議員(社會民主連線)は最後の1議席で当選。本土自決派の台頭で李卓人や黃毓民といつたベテランの泛民議員落選。地方区でも建制派16議席に対して泛民は20議席と市民は明らかにCY梁の親共路線に反対なのだが功能枠は社会福祉や教育など除く土建や運輸等で建制派の組織票強く24議席を確保、泛民は11議席に留まり、この差で建制派が安定与党となる茶番。それでも建制派も民建聯こそ取りこぼしなしの12議席全員当選果たしたが工聯會は3議席失ひ5議席、苦戦予想されてゐた自由党も支持基盤失ひ3議減の4議席と振るはず、の原因はまさにCY梁の不人気。市民からのNoに加へ親共御用政党の中からも反梁の声くすぶるか。ちなみに女性議員は当選者のうち13名とまだ18.6%だが九龍西区(6議席)では当選はすべて女性といふ画期的結果に。いずれにせよ日本の国政選挙に比べたら有権者の良識がどれだけ反映されてゐるか。民度も明らかに日本より高い。民主主義は捨てたもんぢゃない。……それでも本土自決派の若者諸君が加はり立法會議会がどうなるか。これまでの梁“長毛”國雄や黃毓民の戯れ的反抗に比べ、民建聯のオッサンと本土自決派では、もはやLost in translationであることは間違ひなし。そして、この選挙結果でCY梁が来年の行政長官選挙で続投できるのかしら。
▼最近、日本の新聞ばかりしか読んでゐなかつた。8月30日の紐育時報“Japan’s $320 Million Gamble at Fukushima: An Underground Ice Wall”(こちら)より。日本のマスコミではもはや過去のことどころか「なかつたこと」のやうな福島の核禍。
Some call the ice wall a flashy but desperate gambit to tame the water problem, after the government and Tepco were initially slow to address it. Adding to the urgency is the 2020 Olympics, which Prime Minister Shinzo Abe of Japan helped win for Tokyo three years ago by assuring the International Olympic Committee that the water troubles at Fukushima Daiichi were under control.
“It’s a Hail Mary play,” said Azby Brown, a Japan-based researcher for Safecast, an independent radiation-monitoring group. “Tepco underestimated the groundwater problem in the beginning, and now Japan is trying to catch up with a massive technical fix that is very expensive.”