富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

時間かせぎの政治

fookpaktsuen2016-08-29

農暦七月廿七日。日本は迷走台風10号に怯えるが香港はここ天気落ち着く。あまり暑くもない。「内閣支持率62%に上昇」と日経。さらに東京五輪「安倍首相で」59%といふ数字に目眩。アベノミクスは失敗で晋三がどれだけ非立憲的でも、この国の政治を動かすのは(支持率に反映するのは)リオ五輪での日本選手団の活躍で「日本もなかなか大したもの」と誇りに思ふ民草なのだ。アベノミクスといへば中島岳志先生が都新聞の論壇時評で取り上げてゐる吉田徹先生(北大)『時間かせぎの政治』(世界九月号)が興味深い。期待値の操作。「アベノミクスが成功しないのはアベノミクスが不足しているからだ」と言ひ続ける。マイナスの実感の期待値への転換。「アベノミクスが成功しないことこそが安倍政権が支持される」とは。自ら実現を掲げることが失敗する限りにおいて(これまでの政治では明らかに失脚につながつたが)逆に自らが必要とされる「アベノマジック」。恣意的な期待値の操作。実際の成功を目指さず寧ろ成功しないことが重要。永遠の不成功こそ成功への期待値を持続させる。……何とも悲しい現実だが、このパラドクスが永遠に続くか、といふと、これの本質は「時間かせぎ」の政治。こんなことをしてゐる間に日本といふ国が体力を失ふ。これは日銀の将来の富を喰ひ潰す金融政策と一緒。かなり深刻な状況なはずだが、これがどこまで国民に認知されてゐるのか。晋三の自己満足、お芝居に付き合ふのは自殺行為。唯一の希望は「晋三の」改憲も「成功しないことで更に成功への努力が必要」と嘯くだけで現実には改憲もできないこと。ところで昨日、副首相の麻生漫画太郎は「憲法改正、テーブルの上で話できる状態に」とまで宣つてが、これって「テーブルを囲んで」でしょ。「机上」だと空論になってしまふし「俎上」だとこの人は先ず読めない。勝手にテーブルの上に乗っかって改憲でも議論してくれよ、である。晩に自家製餃子。羽田空港で入手のとらやの最中「御代の春」紅梅白梅おめでたくこし餡と白餡のコラボにしてお茶を一服。
▼立法會選挙(9月4日)。都知事選のようなナンチャッテ候補なしで港島区は4議席争うが親中御用政党の完ぺきな票配分に対して泛民派はリベラルから本土派(港独)まで乱立。困ったもの。