富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ポケモンは多神教で反イスラム的

fookpaktsuen2016-07-23

農暦六月二十日。快晴。酷暑にかはりはないが大暑も過ぎ、空は高く何より湿気がなくなり風は心地よい。西陽さすまでは陋宅も窓を開けて冷房なしで過ごせるくらゐ。久々にジムに少し走る。午後出街。某家電店でクレジットカードのポイント用ゐてBoseの藍牙の携帯スピーカー入手。陋宅の台所で長くSonyの風呂用ラジCDプレーヤー(ICF-CD74)使つてゐたが、壊れてはゐないがCDはとんと聞かなくなつてゐて藍牙スピーカーならiTunesなり日本のラジオまでネット聴取可。中環に行きオリンピアグラエコで珈琲豆贖ふ。 FCCウヰスキーソーダ一飲。油麻地。Cinematiqueで家人と是枝監督の映画「海よりもまだ深く」見る。東京の西武線沿線の昭和の団地舞台にありがちなテーマをさらりと描くのだが是枝監督の役者選びが山田洋次的にお見事。何よりも樹木希林の軽妙な名演。樹木希林演じる老婆がクラシック音楽に目覚め(同じ団地にクラシック音楽鑑賞の文化人的な老先生がゐて音楽鑑賞会を開いてゐるからなのだが)団地の狭いダイニングキッチンで音楽聞くのに「便利なのよ、通販で買って」と愛用するのがSonyの、その風呂用ラジCDプレーヤーなのだつた(ちなみに今年春に販売中止)。父親(阿部寛)と息子(吉澤太陽)の間のモチーフに宝くじが出てくるが(以下、ネタバレじゃないが)最後の場面は父が息子に「やるよ」と言つた宝くじを息子が当選番号を調べてゐて「あっ!」で瞬間的に終はるか、「ちぇ、やっぱりダメじゃん」あたりを狙ふか、と思つたが是枝監督といふ人はさういふ落とし方はしないらしい。

The Economistが、よくぞ書いたと思ふ記事が巻頭の“The generals who hide behind the throne - Thailand is ill-prepared for the death of its king”(こちら)。とくに不敬罪に問はれる内容ではないが巻頭記事に続き、かなり詳しく“Twilight of the king - After the ailing monarch goes, what next?”(こちら)は随分とタイのジレンマについて。香港の政情も“The force is with who? - Falling public trust in the territory’s police bodes ill”(こちら)と香港警察やICACの壊滅的状況について。マスコミはそれほどシリアスな時代に朝日新聞は昨夕と今朝の1面トップがポケモンGOである。日本を代表するquality paperと自認しておいてアホか。全国紙で夕刊と長官でポケモンGOをトップ記事にしたのは朝日くらゐ(地方紙こそポケモンGOはトップ記事にしないでせう)。それにしても老若男女この須磨帆のゲームに熱中。 まさに一億総白痴だが、大宅壮一がさう言つた時代はまだ政治もそこまで愚衆政治に陥つてゐなかつたが自民党ポピュリズムで以前のやうな自浄作用もなしでは国も民草も白痴状態で救ひやうなし。自民党といへばポケモンGO自民党本部も「アイテムを入手できるポケストップ」の一つださうで、しかもコトもあらうに「永遠の与党」と紹介。北朝鮮を嗤へず。ちなみに民進党本部は“Miyakezaka Building”とあるだけで党名ナシ。同党のゆるキャラ民主くん」がTwitterで「ちょっと、ちょっと、任天堂さん!民進党の説明文は「未来の与党」でお願いしますね!」と呟いたといふのだから情けない。エジプトの宗教指導者がかつて「人間を泥酔者のやうにする」ポケモンについてモンスターの進化は多神教に通じるもので反イスラム的と指摘してゐたさう。御意。ロシアではポケモンGOが米国の情報機関による作成された可能性もいはれてゐるとか。このゲームには「人々の暮らしぶりについて、あらゆるデータを収集する監視資本主義だ」とオリバー=ストーン監督。ドイツでのテロ乱射騒ぎも物騒だが「激増するテロ」に非ず。日本赤軍でも三菱重工でもミュンヘンだつて五輪で黒い九月の騒動あり。市民を狙つた無差別テロ多発といふが米国がシリアやアフガニスタン等でどれだけ無人空爆で市民を殺してゐるか、と思へば同じこと、否、米国のほうが大罪。テロは必ず起きるし解消しやうもないのは国家権力=暴力装置だから反対勢力も暴力化するからで権力は「テロ対策」と称して国民を守ること口実に警察国家を進めるのはわかりきつたこと。国はテロから我々を守る、のではなくテロをも利用して国民から国家権力を守つてゐる。
都知事選で森進一が鳥越候補応援。芸能人が政治的立場を明確にする、が巨泉や六輔ならわかるが演歌歌手となると、さすがに驚く。森進一ほどの大御所だから許されるのかもしれないが左傾の?野党候補支援。大したもの、といひたいが巣鴨で、鳥越のあまりに短い1分にも満たない演説?の上に森進一が「襟裳岬」のサビを歌つたことに、それが公選法で禁止される「聴衆に物品を提供する行為」と同じ、などと御用筋からは非難される始末。いずれにせよ野党統一候補として鳥越がベストの選択だつたのか甚だ疑問。都知事といへば昨夕の朝日新聞青島美幸が父・幸男都知事について語つてゐる(こちら)。

組織を持たない父にとって、都政は難しい決断の連続でした。象徴的なのが世界都市博の中止と、破綻した信用組合への公的資金投入でしょう。
父が重んじた民主主義は多数決の論理。都市博中止を公約に掲げて170万票を得たけれど、開催を推す圧倒的多数の都議らの背後にも大勢の都民がいる。悩む父を支えたのは、公約を信じた都民とともに闘っているとの自覚でした。彼らの思いを失望から絶望に変えてはいけない。都市博の重さと信義の重さをはかった決断が、中止でした。
一方で、破綻した信組の処理では公約を破った。娘の擁護と思われるでしょうが、父は選挙戦で否定した公金投入の必要性に気付いてしまった。目をつむるのはエゴだと考えたんです。圧力はなかったと思う。あれば闘っちゃう人だから。でもマスコミはバッシングし、世論も同調した。

……わからない話ではない。それでもねぇ。青島が都知事辞めた後に2001年、04年と2度も参院選に立候補して落選してゐたことすらアタシは今日まで知らず。