富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

日経でアベノミクス「評価しない」50%

fookpaktsuen2016-03-01

正月廿三日。晴。熱は華氏100度下回はりC医師処方の抗生物質の効き目ありかだいぶ楽になる。どうしても済ませねばならぬ仕事ありかなり早朝に官邸に赴き空き巣のやうに急ぎ仕事済ませ退散。晴れた空眺めながらぼんやりと寝台に伏せて過ごす。家人の折畳み傘は前原光榮商店謹製、傘の柄の部品が壊れ修理お願ひしたら無料、その上「生地の油シミあるので落としますから少しお時間を」とのことだつたが修理品が届くと、なんと生地張り替えとは。さすが両陛下も愛用の傘屋だけあつてご立派。流感は流感だが今年に入り精神的にも体力もかなり参つてゐたのだらう。薬の所為で寝たり起きたり。晩に煮うどん啜りながらNHKのNW9を見てゐたら冒頭から「キャスターの河野です。いよいよスーパーチューズデー。トランプ氏とクリントン氏がさらに勝ち進みそうです。バージニア州の投票所の中から中継でお伝えします」とまぁ無邪気。民主党で最終的にバニー=サンダース議員勝利!でもないかぎり、こんな海外取材に行く必要もない。特派員にレポートさせれば十分。
アベノミクス頼みの日経さんが世論調査で「アベノミクス「評価しない」50%」と昨日の一面に(こちら)。画期的。二面で「アベノミクス道険し」(こちら)とまだ未練がましさ滲ませるが民主・維新の新党に「期待せず」が64%と、これを見るとアベノミクス期待外れても晋三の支持率が下がらぬのも当然。ジレンマ。今日の毎日新聞(社説を読み解く)が指摘してゐるがマイナス金について「導入に踏み切ったのは従来の異次元緩和の行き詰まりがはっきりしてきたから」で2年でインフレ目標2%達成も無理、円安株安効果も剥がれ落ち、企業とても資金需要そのものが乏しいか銀行から融資も受けず、その一方で「副作用の大きさは計り知れない」もので「劇薬の量や種類を増やしながら追加緩和を繰り返す日銀への信頼が揺らげば、その日銀が守るべき円の価値まで損ないかねない」と。御意。清原さん覚醒剤よりこちらのほうが問題は深刻。
▼「日本は温帯モンスーン地帯にあり、なおかつ地球を覆う複数のプレートの衝突地点にある。台風や地震津波に際限なく痛めつけられ続けるという宿命は、どんな人間を作ったのか」といふことに関心が向いてゐる、と池澤夏樹氏(本日の日経「問いかける言葉」東日本大震災5年「利他に向かう社会 幻想か」こちら)。

古事記」から「平家物語」、「曽根崎心中」、そして現代文学と読んでいくなかで、日本人とは無常の感覚を心に抱え、色恋を好み、武勲を誇るよりも敗者をいたわる人たちであると考えるようになった。近代以降の日本人は大きく変わったが、今なお私たちの精神の基底にはそうした心性が息づいている。
同時に、日本人は天災と復興を繰り返す長い歴史の中で「災害ずれ」してしまった人間だとも思う。災厄に見舞われても「仕方がない」と割り切り、必死に思い詰めるより花見をしてゆったり暮らしたい。そう考えてきたのだろう。被災地の復興はなかなか進まないのに、五輪で遊ぼうという今のムードにも、そんな心が表れてはいまいか。
震災直後はボランティアなどの利他的な動きが社会に広がり、店舗や地下鉄の駅が多少暗くてもいいと多くの人が思っていた。原発に依存するのはもうやめようという声も強かった。これを機に世の中が変わるのではないかという思いがあったが、結局、すべて元に戻ってしまったように私には見える。社会をよりよくしたいというあの雰囲気は、結局、災害時だけのユートピア幻想にすぎなかったのか。

練馬区長が環状道路等の計画に反対する市民運動のメンバーに対して「区長は全員と話さなければいけないのではない、差別はしないが区別はする」と暴言(東京新聞)。石神井公園区民交流センターで区が開催の「区長とともに練馬の未来を語る会」の席上、質疑応答で一人の区民が「区に対する反対意見も聞いてほしい」と訴へたのに対して冒頭の発言に続け「私を真摯に支援してくれる人と練馬区を発展させたい」と。かういふ輩が首長になることも晋三が首相なのだからミニ橋下の登場だと思へば驚きもしないが呆れるのは練馬区の小役人どもで道路計画など住民説明会で区側が一方的に説明のあと住民の意見は聞いてお終ひ、説明会のあと住民に「あなたたちはどうせ反対なんでしょう」とまで言つたといふ。今回の口調の発言も区の広報課曰く「区別とは違いを認めることであり住民の取捨選択ではない、区長は差別はしないと申しており、そのどこが問題なのか分からない、この女性の意見は広聴の窓口で聞いている、当日のやりとりでは、これ以上会わないことをお話ししただけ」。首長も横柄なら区の小役人までこの〈晋三化〉のメルトダウン