富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

平幹二朗〈王女メディア〉

fookpaktsuen2016-01-16

農暦十二月初七。晴。朝七時半に水戸を発つ特急で上京。最速なら東京駅まで75分くらゐだが朝の通勤時間で97分かゝるが上野乗り換へよりは楽。霞が関、溜池経由で麻布鳥居坂の旅寓。4日ぶりに家人と合流。大江戸線で新宿。角筈で家人と別れ、ふらりと中村屋で印度咖喱飯頬張る。麻布テイラーなる仕立屋でシャツ誂へ。新大久保。東京グローブ座。久が原T君に切符手配いたゞき築地H君、家人と平幹二朗〈王女メディア〉最前列で観劇。平幹二朗が化粧こそするものゝ地声で「女形の演ずる女役」とは異なる「男性俳優が変成する女そのもの」(村上湛)。それがどんな女優が演じるよりも、かりにこの役ができる女優は?といへば大地喜和子くらゐか、女優の熱演より更に平幹は情念まで「女そのもの」。平幹の演技の超越は別にしても、王女メディアの周囲の女たちが、これが歌舞伎なら女中らはたゞ無表情に座つてゐるだけだが、五人が五様、王女メディアの喜びや悲しみ、策略、悪意に「しめしめ」「まったく」「なんて酷い」と異なる反応を表情で見せ、これが王女メディアの心の葛藤を五百羅漢のやうに表す。できれば次は王女メディアだけ、三度目はこの女たちだけ、と見てみたいと思ふ芝居だが平幹にとつて一世一代のこの芝居、東京は今日が最後で、このあと東北から北海道巡業して三月に水戸芸術館千穐楽新大久保駅近くの商店街の喫茶店でH君、家人と四方山話。新大久保といふとコリアンタウンでヘイトスピーチのメッカだつたがヘイトしてゐた右翼諸君の標的は韓国と「屈辱的和解」に進んだ晋三で今は首相官邸周辺で抗議活動なのかしら。H君と別れ百人町から線路潜り柏木に至り常圓寺。掃墓。新宿駅のBergで啤酒一杯飲み家人と別れ、識る酒場で独酌。二更に久が原T君と会ひ「まるで昭和」の賑やかな肆で飲みはしご酒でお転婆で深更に至る。