富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-10-02

農暦八月二十日。午前中にジョギング。昼抜き。午後、中環から久々にスターフェリーで尖沙咀に渡り星光行(Star House)に新装開店の「誠品生活」にいく。このビルの2・3階のフロア独占。エスカレーターはまだ昔の金島燕窩潮州酒樓に上がつてゆく時のまゝぎし/\。銅鑼湾の誠品書店に比べ書籍以外の小物多く「生活館」だが個人的には誠品で扱ふ中途半端な、高級アイテムなのか生活雑貨なのか、デザイン商品にしては垢抜けず、個人のふと思ひつき的コンセプトショップだつたり……やうするにテナント選擇が今一つ下手なのだと思ふ。思いつきり買い付けで「これが誠品アイテム」集めるか、あるいは無理せず無印良品やLoft、東急ハンズのやうな小売店とのコラボでもいゝはず。香港ならCitysuperと組んでしまふとか。二時間ほど彷徨。FCCに独酌。
渋谷陽一「SIGHT」2014年夏号一年以上遅れて読む。特集は「戦争 - 安倍外交の果てにあるもの」この編集は71クーデーター以前。藤原帰一が、安倍政権になり(当時は)憲法改正派増えてゐても「改正が9条に結びつくと一気に反対が増えてくる」として晋三が「このまま今のアクセル踏んていったら自民党の中からも外れていく」と予想してゐるのだが、それから一年、現実にはアクセル踏みっぱなしだつたが自民党が晋三についていつた!事実。「永続敗戦論」の白井聡が面白い。「戦後の終はり」といふが戦後は冷戦崩壊で終はつてをり、それから20年以上は宙に浮いた状態。晋三は「戦後レジームからの脱却」といふが「知性の不足で」と白井先生w、戦後レジームの本質わかつてゐないのではないか、本来のそれは対米関係=従属性の相対化と東アジアでの日本の孤立の解消であるはずが晋三は対米従属強化とます/\の東アジアでの孤立があり、これは「永続敗戦レジーム」の純化。米国はオバマになり殊に日米関係は今更だうでもいゝもので願ふは中日の戦争回避のみ、その中で晋三は集団的自衛権で対米従属傾向強めることで結果的に「敗戦の否認」、それと歴史見直しを認めさせる二つ(その程度かよ、)が目標。あれだけ晋三を支持しておいて今になつて憲法改正反対といふのもおかしな話だが、戦後日本にとつて

  • 庶民の知恵によって憲法を守るということと、日本国民は絶対に政治的主体たり得ないということ、これはコインの表と裏。我々はまもともな政府を絶対に持ち得ないという、非常に深いあきらめがあるからこそ、憲法9条は支持されてきた。

わけで、晋三になつて「それを言っちゃお終ひ」が始まつたこと。あらゆる政治経済、学問などで既得権益もつ勝ち組が「アベノクラシー」形成してをり、それに対する庶民感覚の「おかしいよ、それ」か。もう一つ田中秀征の外務省分析も興味深い。なぜ外務省が集団的自衛権に固守するのか、は(既定の日米ガイドラインある前提で)安保法制立法化=米国による「よくできました」の評価と常任理事国入りだといふ。第二次安倍内閣の安定は今しかないチャンスの謂はば組織益。集団的自衛権行使容認には日本を巡る緊張高まつてゐるといふ状況が必要で(平和的に外交がうまく進んでいると全然議論にもならないw)、このまゝでは危ない、米国だけに任せておけるか、で(外務省の現状理解は晋三よりかよっぽどマシではあるが)今の世界秩序の中で何が外務省にとつて不満かといへば日本の国際的な地位、それを上げたい一心、と。……そのために戦後の安保法制の大幅な進路変更かよ。この田中秀征との対談で渋谷陽一さんが、さらっと言つてのけた一言、自分は

  • ポップミュージックを聴いていて自分を含めての大衆を信じ、なおかつその正しさを立証してきた立場

と。さうか、それなのか、そんな覚悟なのか、と妙に納得。
▼晋三の改めて九月廿四日両院議員総会後の記者会見の内容(こちら)を読んで遅ればせながら呆れる。

「日本を取り戻す」。この、お約束を実現するために、私たちは、全力を尽くしてまいりました。アベノミクスによって、雇用は100万人以上増えた。2年連続で給料も上がり、この春は、17年ぶりの高い伸びとなった。中小・小規模事業者の倒産件数も、大きく減少した。もはや「デフレではない」という状態まで来ました。デフレ脱却は、もう目の前です。この3年で、日本を覆っていた、あの、暗く、重い、沈滞した空気は、一掃することができました。日本は、ようやく、新しい朝を迎えることができました。

と、この内容はもはやカルト。この晴れ晴れしい感覚は「近代の超克」。で第二ステージは「ニッポン一億総活躍」プランで新三本の矢ってもはや妄想以外の何ものでもなし。勝手に「晋三一人総活躍」が実態。