富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2015-09-11

農暦七月廿九日。誠品書店で舒國治『台北游藝』贖ふ。70年代の台北のなんと浦山しいことか。日本人倶楽部の三菜に畏友T君と飰す。日本から、とサントリーの「響」17年物もらふ。香港の友人から日本産ウヰスキーいたゞき忝なくおもふのも何だかヘン。二更のうちに帰宅。
朝日新聞(耕論)「アベノミクスでいいのか」要旨。異次元緩和に懐疑的立場で岩本康志東大教授。異次元緩和が従来の金融緩和と大きく違うのは「2%の物価目標の達成時期を2年程度と明確にしたこと」だったが日銀で黒田総裁就任当初約束の2年は過ぎましたが物価上昇率はゼロ近辺に戻った=約束果たせなかったのは明白。ゼロ金利下では、利下げという最も効果がある金融緩和の手段が使ええない。この2年で日銀は長期国債を大量に購入し銀行などが日銀に持つ当座預金の量を増やしましたが「長期国債当座預金に置き換えるだけの量的緩和」に物価上昇効果はほぼない。いずれ金利が正常化すると金利負担大=日銀の財務状況悪化の可能性。日銀納付金が国庫に入らなくなり政府の財務状況も悪化。財政のリスクを膨らませてしまった。デフレ脱却を目指して、そこまでのリスクを冒す価値があったかは疑問。消費者物価を品目別に見るとパソコンやAV機器の急激な価格下落等、生活実感からは「国民を苦しめるデフレ」とは呼べない。デフレの問題は金利をゼロ以下に下げられないときにデフレが進むと実質金利が上がること。日銀から見れば「デフレによって不本意に金融を引き締めているので好ましくない」が国民経済全体にとってはデフレは必ずしも深刻な問題とはいえない。(略)政府と日銀が近寄りすぎていることも問題。金融資産を取り崩す高齢者が増えてくると国民の貯蓄が減り国債が市場で消化されにくくなる。政府が消化できない国債を日銀に直接購入させるよう圧力をかけることが十分に考えられ、中央銀行が貨幣量コントロールできなくなると通貨の信認が損なわれ高インフレに見舞われる事態も予想される。……それに対してリフレ派エコノミストの片岡剛士(三菱UFJ)は「もしアベノミクスが発動されていなかったら」として行き過ぎた円高が災いし大手上場企業が相次いで経営危機に陥っていた可能性が高い、過度の円高は輸出製品の価格競争力を悪化……と並べた上で「民主党政権時」に(笑)70円台の超円高記録したのがアベノミクスで再生された、とするが消費税増税は期待に水を差しアベノミクスは景気回復への方向感を失いつつある……とリフレ派にとつては晋三もそろそろ期限切れらしい。それでも

アベノミクスの本質は国民の心に「少なくとも先進国平均なみに日本は毎年成長しつづける」という長期的な期待を育み国民の自由な経済活動を促進する制度整備を進め所得を安定的に増やすことにある。

と断言した上で「政府は再び政権発足当初の強い期待を醸成する必要がある」と、あの世紀の「まやかし」をまだしろ、と言ふのだから、いゝ加減にしろよ、である。