富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦乙羊年元朝

fookpaktsuen2015-02-19

農暦乙羊年正月初一。元朝だけ乗り放題の今年の干支・羊を図案にしたオクトパスカードあり、これで遠出決め込み取り敢へず東涌に往く。因みに羊年といふが日本でイメージする羊は綿羊(Sheep)だが中国的には山羊(Goat)。言ふまでもなく公羊(Ram)ではない。大嶼山は寳蓮寺に元朝参りのかなりの人出。ケーブルカーに長蛇の列。季節風強し。途中、背負つてゐた鞄をMTRの改札で落としたが、新聞読みに特化してゐたiPad Airのガラス面みごとに亀裂あり。中環で蘋果商店に持ち込むと修理代は殻ごと取り替へるのでHK$2,400余だといふ。ちなみに新品で同種はHK$3,000では「新品お買ひ直しください」。諦めて退散。MTR乗り放題で、このあと元朗、屯門、上水に往くか、と思ふと大陸漢の大量の買ひ出し旅行者想像するだけでぞっとして帰宅。ガラス割れて無残なiPadは動きはするので中身をきれいに初期設定にして、さてだうしようかしら。取り敢へず居間でラジオ聴取に専ら使つてゐたiPad mini(初代)新聞読み用に復活させ、居間のラジオ用には使つてなかつたiPhone5を転用。ふと数へたら陋宅だけでiPhoneが5台、Mac Book Air2台とiPad3台あり。晩に大根おろしとニラの鍋で豚肉のしゃぶ/\。Robert MondaviのFumé Blancが料理にとても合ふ。
文藝春秋三月号で塩野七生が連載で書いてゐる「一神教多神教」について。宗教=平和的は思ひ込みで(それは正しい)宗教は一神教であれば尚更のこと戦闘的で攻撃的、と。キリスト教がいかに異教や異端に容赦なかつたか、イスラム教も千四百年も前のマホメッドの敵に囲まれ戦闘的で攻撃的にならざるを得なかつた時期の教へを教条的に21世紀の今も踏襲するのがイスラム過激派……と塩野。西欧でキリスト教一神教は守りながらも弊害から逃れたのが政教分離。それに対して「われわれ日本人は」と、ここからが塩野の真骨頂だが

宗教的には寛容な民族である。なにしろ神の数だけでも八百万もいるうえ、政教分離でも、比叡山を焼打ちした信長によって早々にカタがついた。だから日本は、この面での問題に苦しまされることもなく生きてきたのだ。だからと言って、世界の他の地域ではそうできないことを知っておくべきだろう。善意で出て行ったのに足をすくわれた、という事態にならないためにも、である。

と抑制を説いてゐるのか、「積極的平和主義」への指導なのか……後者か。そも/\それに関はる必要がないのだが。一神教については先日の日経で千葉大・文の加藤隆先生が面白い解説をしてゐた。メモとつてゐたので載せておく。
日経平均15年ぶり高値の由。晋三は、衆院予算委で民主党議員が農林水産相・西川某への政治献金問題質したところ首相でありながら閣僚席から「日教組はどうするの!」*1などとヤジ*2飛ばし一時紛糾。予算委の委員長・大島某その場を収め「首相もちょっと……」と苦言。一国の首相が、と思ふと晋三には呆れるばかり。だが映像で見ると質問する民主党議員に「総理、興奮しないでください」とか言はれてゐるが晋三全然興奮なんかしてゐない。頗る余裕の表情で、予算委委員長に窘められても「日教組」と揶揄ふやうに。ある面ご立派。
週刊朝日連載、橋下に朝日新聞出版と佐野が謝罪し和解(朝日新聞)。橋下君、徹底して断固戦ふのを期待してたよ。
夫婦別姓憲法判断へ(都新聞)。これに明確に反対の自民党=所詮おやぢと、それに諂ふのが美徳の女たち……では夫婦別姓なんて反対ね。それくらゐしか守るものないのでせうが。
▼中東の機雷掃海行使可能「日本への攻撃と同様」と晋三(都新聞)。「石油供給滞れば国民生活に死活的影響」って、これって昭和初期の軍部と同じ発想よね。これを口実に派兵、で国内では石油の安定供給は困難を理由に原子力発電推進の茶番。国会での論戦だけでなく実践も始まつてをり自衛隊が邦人退避訓練タイで軍事演習「コブラゴールド」 (産経)。気分はもう戦争。避難民役が(曼谷の日本大使館員やその家族とはいへ)政府や自衛隊より、かうして引き摺り込まれる民草の浅慮こそ哀れ。
▼中国北大学長汚職にからみ解任か (産経)。 汚職なのか、西欧的に学問の自由や普遍的価値観教え中共の指導重視せぬ大学への中共の不満なのか。
▼毎年恒例、農暦正月に英米在香港総領事による新年賀辞の映像。今年も見事。お茶目さの米国に対して、英国は香港の元宗主国としてプリンシプルの部分で絶対に譲れない部分ありコメントはコメントとして言つてをいて、で箏を演奏してみせる、これもさすが英国的技量。日本もこれに負けず映像つくれないものか、と思つたら新潟M記者が「能面なしで総領事による土蜘蛛とかいかがでしょ?」と。ニンかもしれないが土蜘蛛だと「晋三に仕へてゐるといふ女房の菅は重い病に苦しむ首相のために……」で始まり土蜘蛛の精=中国になつてしまひ、それを征伐してめでたし……は外交的にヤヴァいだろ。能なら「鶴亀」がいゝのでは?と久が原T君。日本の総領事がシテ・玄宗皇帝に扮し中華帝国の万歳を寿ぐ曲……ってこれぢゃ晋三的には屈辱的外交かw また「白楽天」なら唐から日本の知恵を試しに来た楽天が漁夫の老人実は住吉明神に論破され神風に吹き戻されて帰国する……と、こりゃ更にマズい。

*1:北海道教組が民主党に違法献金民主党議員辞職となつた件。

*2:『ネットと愛国』の著者・安田浩一曰く「議論の文脈を無視して「日教組」「左翼」「売国奴」と詰って反論を封殺するのはネットウヨの常套手段。首相のヤジはネットウヨに媚びているのではなく本人がネットウヨ的な感性の持ち主であることを示している。」東京新聞二月廿一日特報面